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害虫と病気の話

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第60話 テンサイ褐斑病

 テンサイは、甜菜のカタカナ書きです。サトウダイコン(砂糖大根)が正式名称とされたこともあります。栽培農家は英名のビート(sugar beet)を使います。褐斑病はテンサイの最重要病害であり、この病害の防除なくしてテンサイの安定生産は望めません。

写真1 初期病斑
写真1
初期病斑
写真2 初期病斑
写真2
初期病斑
写真3 褐斑病・初期病斑
写真3
褐斑病・初期病斑
写真4 初期病斑:直径3mm程度
写真4
初期病斑:直径3mm程度

 病徴:褐斑病はカビによって起こる病気です。主に葉に発生します。この病気が出始めるのは7月下旬頃からで、下の方の葉に赤紫色の小さな斑点が生じます。これが後に大きくなり、直径2〜4mmの円形病斑となります。病斑の中心部は薄い褐色、周囲は褐色〜赤紫色となります。湿度が高くなると、病斑の上に病原菌であるカビがたくさんの胞子を作ります。この胞子は分生子(ぶんせいし)と呼ばれますが、密集して灰色がかった白い粉状となります。症状の進行したテンサイでは、葉の付け根の葉柄(ようへい)にも、細長い褐色〜黒色の病斑ができます。褐斑病は8月中〜下旬になると急速に拡がります。症状の激しいものでは、1枚の葉に数百個の病斑が生じて、葉の全面が褐色となり、ついには枯れ込んでしまいます。この病気によって成長した葉の大部分がなくなってしまうと、新しい葉が再生します。そうするとせっかく根の中に蓄えていた糖分が低くなり、収量も減ってしまいます。

写真5 拡大した病斑の裏側
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拡大した病斑の裏側
写真6 病斑が点在する
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病斑が点在する
写真7 罹病株:全景
写真7
罹病株:全景
写真8 重症病斑
写真8
重症病斑

 伝染経路:伝染源は、罹病した種子や茎葉の中で越冬した分生子や子座(シザ:分生子の塊と考えて良いでしょう)です。病原菌はこの状態で1年以上生存します。茎葉で越冬した病原菌は、20℃以上になると新しい分生子をつくり、これが飛散して葉に感染します。種子に感染している菌は、種子の発芽・生長とともにテンサイの体内に侵入します。

発生環境:病原菌は5〜37℃の範囲内で生育します。伝染のポイントになる分生子は24〜25℃で盛んににつくられます。日中にに飛散して、葉の気孔から侵入します。感染してから発病までの潜伏期間は、30℃では7〜8日、25℃では9〜10日、15℃では19〜21日です。また、若い葉では潜伏期間が長く、病斑数も少なくなります。連作畑や前年テンサイを栽培した隣の畑、あるいは被害葉をすき込んだ畑では、早くから病気が発生して被害も大きくなります。

防除法:健全種子を使う。3〜4年輪作する。被害茎葉を畑にすき込まない。飼料用ビートに隣接して作付けない。薬剤散布の開始時期は発病株率で50%を目安とする。

(写真提供:内野浩克氏・妹尾吉晃氏・中里秀昭氏・社団法人 北海道植物防疫協会)


社団法人 北海道植物防疫協会
児玉不二雄

2007年1月23日掲載

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