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<忽然と現れた新害虫>
 写真1 シルバーリーフコナジラミ
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ちょうど20年前のことである。ところは米国のフロリダ。温室栽培のポインセチアに見慣れないコナジラミが大発生した。まもなく、カリフォルニアのブロッコリー産地でも同じコナジラミが大発生した。当時の新聞は「人が近づくと白い虫が無数に舞い上がり、3m先も見えなくなってしまう。危なくて自動車を運転できない」と報じている。このコナジラミこそ、忽然と現れ、やがて世界を席巻するようになったシルバーリーフコナジラミである(写真1)。我が国では1989年に発生が確認され、瞬く間に全国各地に広がった。
<名前の由来>
シルバーリーフコナジラミの最大の特徴は、カボチャなどの葉を白化させることである(写真2)。シルバーリーフコナジラミという名前もこの特徴に由来する。実は、白化させるのは葉ばかりではない。高密度になると、トマトの果実を縞模様にしたり(写真3)、エダマメの莢を白くもさせる。いずれにしても、色素に関連したさまざまな異常症を引き起こすのが本種の特徴である。
 写真2 白化しているカボチャの葉 |
 写真3 縞模様のトマト |
<TYLCVの媒介>
 写真4 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
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シルバーリーフコナジラミによる被害は、「植物体を衰弱させる」、「排泄物にすす病が発生する」といったコナジラミに共通したもの以外に、前述のとおり、「着色異常症を引き起こす」。さらに厄介なのが「ウイルス病を媒介する」ことである。
本種が媒介するトマト黄化葉巻病(TYLCV)は全国各地で大問題となっている(写真4)。成虫がトマトの葉から吸汁する際、ウイルス粒子を取り込み、健全なトマトに飛来しては、つぎつぎとウイルスを伝播していく。この病気が蔓延している地域では、成虫の侵入を防ぐため、ハウスを寒冷紗(0.4mm程度)で被うことが何より大切である。また、家庭菜園のトマトもTYLCVに感染しているため、地域ぐるみの対策も必要となる
<バイオタイプとは>
話はややこしくなるが、シルバーリーフコナジラミが米国で発見された当初、タバココナジラミとされた。ただし、本来のタバココナジラミと比べると、殺虫剤に対する抵抗性が著しく高く、着色異常症を起こすなどの特徴をもっていたことから、新しい系統(バイオタイプ)とされ、タバココナジラミのバイオタイプBあるいはポインセチア系統と呼ばれた。その後、本来のタバココナジラミとの間に子孫ができないことが明らかになったため、新種とみなされ、シルバーリーフコナジラミと命名されたのである。以来、我が国ではこの名前が使われてきた。
ところが、最近は、元に戻して、タバココナジラミのバイオタイプBと呼ぶことが多くなっている。現在、タバココナジラミの24の系統にはアルファベットがつけられ、バイオタイプA、バイオタイプBといったように呼ばれている。
<バイオタイプQの出現>
昨年、九州で新しいバイオタイプの発生が確認された。バイオタイプQである。その後、本州でも確認され、分布を急速に拡大しつつある。バイオタイプQはスペインが起源とされ、バイオタイプB(シルバーリーフコナジラミ)以上に殺虫剤抵抗性が高いとされている。たとえば、ピリプロキシフェン剤は効きにくく、ネオニコチノイド剤の一部にも抵抗性を示すといわれている。ピーマンやシシトウを好み、バイオタイプBと同様、TYLCVを媒介し、着色異常症も引き起こす。困ったことに、外見からはバイオタイプQとBを見分けられない。見分けるには、遺伝子を解析する特殊な手法が必要となる。
農林水産省は18年度からバイオタイプQについて本格的な研究を開始する。その成果が待たれる。
静岡大学農学部生物生産科学科 応用昆虫学研究室 西東 力 2006年4月20日掲載
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