 写真1:前者のグロメレラ シングラータ菌による イチゴ炭疽病(苗の萎凋) |
 写真2:前者のグロメレラ シングラータ菌による イチゴ炭疽病(クラウン部の断面) |
イチゴは今、多品種の時代にあり「東の女峰、西のとよのか」という言葉がなつかしくなりつつあります。現在は「とちおとめ」、「章姫」をはじめ、九州では「あまおう」、「さがほのか」、「さちのか」、「さつまおとめ」など、各県で主力品種が異なり、群雄割拠状態にあります。
ところで、最近の気象変動の激しさはイチゴ栽培にも大きな影響を及ぼしています。夏秋期の高温による花芽分化の遅れ、また逆に、異常寒波到来による果実の肥大・着色不良。そして、原油高騰の追い打ち。さらに、病害の面では、台風の度重なる襲来もあって「炭疽病」の発生が大きな問題となっています。
しかし不思議ですね。前述のこれら優良品種は、この炭疽病にこぞって弱いのです。そこで今回は、イチゴの最重要病害である「炭疽病」について、お話をします。
まず、敵を攻略するには、相手をよく知る必要がありますが、皆さんはわが国で発生する炭疽病には、2種類あることをご存じですか?病原菌(カビ)Glomerella cingulata(グロメレラ シングラータ)によるもの(写真1、2)とColletotrichum acutatum(コレトトリクム アクタータム) によるもの(写真3、4)があります。
 写真3:後者のコレトトリクム アクタータム菌による イチゴ炭疽病(葉枯れ症状)
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 写真4:後者のコレトトリクム アクタータム菌による イチゴ炭疽病(果実) |
現在大きな問題になっているのは前者の炭疽病で、育苗期だけでなく本圃定植後も発病し萎凋枯死して、致命的な被害を及ぼしています。一方、後者は俗称「葉枯れ炭疽」と言い、前者のようにクラウン部をおかして枯死までに至ることはなく、葉や葉柄、ランナー、果実に発生します。
 写真5:イチゴ炭疽病菌 (グロメレラ シングラータ) の分生子
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ではこれからは、この前者の炭疽病を中心に話を進めます。本病の第1次伝染源は潜在感染した親株、あるいは育苗圃場などの発病株残さです。春先に暖かくなると、これらに分生子(胞子、写真5) が大量に作られ、かん水や雨滴によって飛び散り次々と伝染していくのです。決して風でフワフワと運ばれるものではありません。したがって感染のない親株を健全な圃場に植え付けることが、まず大事です。しかし気象変動もあいまって、イチゴ産地の菌密度が高くなっていると思われ、これらの完全な確保が難しくなっているようです。
それでは、このように感染、発病のおそれがある場合の対策はというと、まず土壌消毒などによる圃場の健全化が必要です。次いで、親株などから新たな苗への伝染(第2次伝染と言います)、これを防ぐポイントは、1)育苗中、長時間の夕方のかん水などで茎葉の濡れ時間を長くしない、2)雨よけや高設育苗で風雨による水滴のはね上がりを防ぐ、3)窒素質肥料の過度の施用を避ける、4)発病株は見つけしだい除去するなどのことが大事です。そして、本病に弱い品種が主流である今日、薬剤の予防散布は絶対に欠かせません。
最近明らかになったことですが、本病菌の分生子は気温が20℃を超える時期になると飛散し始めるそうです。そのため、この気温を目安に、早い時期から定期的な予防散布をしましょう。散布間隔は、苗の展葉日数(間隔)を目安にします。また、薬剤耐性菌の発生を避けるため、作用特性が異なる薬剤を輪番使用しましょう。
長崎県総合農林試験場 松尾 和敏 2006年1月27日掲載
当社の防除薬剤:当社では「イチゴの炭疽病」の病害に対する薬剤として
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