 写真1:果実病斑 (同心円状の輪紋を 描くことが多い)
農産物の栽培に於いて消費者から安全安心が求められている中、福島県のリンゴ栽培においては、フェロモン剤等を利用した防除を導入し、安全安心と環境にやさしい防除を実施しております。リンゴの花の開花から収穫まで少なくとも果実が樹についている間だけでも散布回数を減らしたい、この思いを実践しているのです。
しかしリンゴの場合、生育の進みやその年の天候等で、主要病害の発生量や発生時期が大きく異なってきます。このため、散布する薬剤の種類も多くなり、年間の散布回数は平均すると14回前後になっております。
今回は、数多いリンゴの病害虫の中から「輪紋病」について取り上げます。
● 輪紋病とは
本病は枝幹部に通常「いぼ」を形成し、別名「いぼ皮病」と呼ばれます。また、果実に感染すると熟果になってから輪紋状の腐敗を引き起こすことから「輪紋病」と呼ばれ、最近増殖しているわい化栽培で発生が多くなっています。
本病の発生は、従来のスターキング等のデリ系に時おり発生していましたが、最近ふじや王林等の無袋栽培が普及するとともに、被害が目立ってきた病害で、有袋栽培ではあまり発生しません。
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| 写真2:「いぼ病斑」の発生していない健全な枝幹1 |
写真3:「いぼ病斑」の発生していない健全な枝幹2 |
● 本病の感染経過と防除適期を知ろう
本病は枝幹のいぼ病斑で越冬し、福島県では5月頃から、降雨があると病斑がぬれ柄胞子を飛散し果実に感染します。この柄胞子の飛散は10月まで続きます。福島県では、果実に感染する時期は6月中旬〜8月で、特に注意が必要な時期は6月中旬〜7月中旬です。この時期の防除が重要となります。
果実への感染は、まず雨滴に混じって飛散した柄胞子が果実の表面に付着後、高湿度で発芽して果実面の果点から侵入します。侵入した病原菌は果点付近の組織内で90日以上もの長い間潜伏し、成熟期に入って果実の糖度が高くなると繁殖を始め、9月頃から果実表面に同心輪紋の病斑を生じます。即ち、果実が未熟果で発生することはなく、収穫期が近づくと急激に発病するのです。
本病原菌は10〜35℃で感染します。また柄胞子は好湿度条件下の水滴中で25〜30℃の適温で短時間で発芽し、感染します。本防除は、枝幹に発生しているいぼ病斑で越冬しますので、本病の発生を少なくするためには「いぼ病斑の発生を少なくする」ことです。また、このいぼ病斑は樹勢が弱い場合に発生しやすいので、樹勢を健全に保つことも防除の基本となります。
特に、排水不良園や若木の管理が不十分な場合に多発するので、この点を十分考慮することが肝要です。
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| 写真4:枝幹に形成された「いぼ病斑」1 |
写真5:枝幹に形成された「いぼ病斑」2 |
● 薬剤散布による輪紋病防除の実際
福島県では休眠期の3月下旬に、いぼ皮からの感染防止を図るため石灰硫黄合剤の10倍液を散布しています。また、生育期間では果実感染が多くなる6月中旬から7月上中旬にかけて、枝幹部に十分薬液がかかるよう薬剤散布を徹底しております。
使用する薬剤は、有機銅・キャプタン剤又はキャプタン剤、有機銅剤を3〜4回散布します。また、従来は4−12式ボルドー液散布が効果的でしたが、最近の無袋栽培の普及や、無ボルドー体系の防除が主体となったことから、ボルドー体系の防除が少なくなっており、年によっては輪紋病の防除に苦慮しています。
シンジェンタ ジャパン株式会社 クロッププロテクション営業本部 技術顧問 高倉 和男 2005年8月15日掲載
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