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第43話 お茶の輪斑病の話
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第43話 お茶の輪斑病の話
 写真1: Pestalotiopsis longiseta の分生子
♪夏も、近づく、八十八夜♪と言えば文部省唱歌の「茶摘」。若葉が萌えるこの時期は、新茶のシーズンです。緑茶は日本人にとって馴染み深い飲み物ですが、最近はペットボトルの緑茶飲料が大ブーム。特に緑茶成分のカテキン類は機能性成分として注目されています。
さて、我が国で栽培されている茶の80%以上は「やぶきた」です。「やぶきた」は品質が高く、収益性に優れていますが、多くの病害に対し罹病性が高いため、病害防除は欠かせません。今回は茶の主要病害の中でも、「やぶきた」の普及により発生が顕著化した輪斑病について解説します。
輪斑病の病原菌にはPestalotiopsis longiseta (ペスタロチオプシス ロンギセタ)とPestalotiopsis theae (ペスタロチオプシス テアエ)の2種がありますが、現在、全国的に発生が多く、被害が大きいのはP.longiseta (写真1)による輪斑病です。P.longiseta は特に「やぶきた」に対し病原力が強いため、この菌により輪斑病は茶の重要病害に位置づけられるようになりました。
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写真2:葉枯れ症状 (傷口から病斑が伸展) |
写真3:茎枯れ症状 (切断部から壊死が下方に伸展) |
写真4:葉枯れ及び茎枯れ症状の 多発生状況 |
輪斑病には、摘採後の葉や茎の傷口から発症する葉枯れ症状と茎枯れ症状の他(写真2・3・4)、摘採せずに放置した新梢が基部にえ死を生じ、水分供給が絶たれ枯死する新梢枯死症状があります(写真5・6・7)。本病は収穫する新芽に対し直接的な被害はありませんが、多発すると次期の芽立ちが悪くなります。
病原菌は樹上に残った病茎葉や落葉内で越冬し、4月〜5月に新生する一番茶芽への伝染源となります。その後は主に各茶期の摘採後に発生する病茎葉が次の茶期の伝染源となります。病茎葉に形成された分生子は雨の飛沫で分散し新芽に到達すると、葉枯れ及び茎枯れ症状の場合は、摘採直後に生じた茎葉の傷口から侵入感染します。新梢枯死症状の場合は、新梢の包葉や不完全葉の離脱部の傷口から侵入感染します。病原菌はやや高温を好むので、葉枯れ及び茎枯れ症状は気温が高い時期となる二番茶や三番茶の摘採後の発生が多く、新梢枯死症状は秋整枝まで放置される三番茶芽や四番茶芽の枝梢に発生がみられます。
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| 写真5:新梢枯死症状の初期(新梢が活力を失い退色) |
写真6:新梢基部のえ死(上部への水分供給が絶たれる) |
写真7:新梢枯死症状の末期(枯死した枝) |
葉枯れ及び茎枯れ症状に対し、ほとんどの殺菌剤は摘採の翌日までしか有効期間がなく、それ以降は著しく効果が低下してしまいます。しかし、実際場面では周囲の未摘採茶園への薬液飛散の問題があるため、摘採翌日までの防除は実施が困難な状況にあります。その場合は、一週間程してから摘採面を1〜2cm刈り込んだ後に防除する方法をとるのが良いでしょう。一方、新梢枯死症状に対しては、摘採せずに放置する新芽の生育初期に有効薬剤を1〜2回散布すれば発生を抑えることができます。
静岡県茶業試験場 西島卓也 2005年4月28日掲載
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→→第44話 食葉性のイチモンジセセリ(イネツトムシ)
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