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害虫と病気の話

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 第41話 ウメの黒星病

 昨年末には関東で平年より一ヶ月も早く梅が開花したことがニュースになり、気象変動が植物の生育にも影響していることを教えてくれました。新年を迎えたことでもあり、今回は梅の病害を取り上げてみます。

 梅にはどんな思い出があるでしょうか。おにぎり、日の丸弁当、梅酒、梅肉エキス、青梅、天神様、梅林、盆栽、紋様、色々なキーワードが浮かびます。司馬遼太郎の「中国・江南の道(街道をゆく19)」には、会稽山近くの村の路上に梅の実が干されているのを見つけて、一行が大騒ぎした光景が記されています、結局、お菓子のように甘くして食べるとのことで日本の梅干とは違ったのですが、こんな情景からも梅が私達の生活や心の中に深く根付いていることが伝わってきます。奈良時代に中国から薬用として伝来したとされる梅は当初は花が大変愛され、万葉集には梅の花を詠んだ歌が多くあります。鎌倉、江戸と時代が進むにつれて調味料、食用、薬用、飲料など果実の利用も進み、鑑賞用や染料としての利用も合わせて一般に広く親しまれるようになり、現在では私達の生活に欠かせない存在になっています。
©全国農村教育協会
写真(果実の病徴)
写真1:果実の病徴
 
©全国農村教育協会
写真(枝の病斑)
写真2:枝の病斑

 梅の栽培でも様々な病気が発生しますが、その中で主要な病害は黒星病とかいよう病です。かいよう病は細菌による病害ですが、黒星病はクラドスポリウム カルポフィラムという糸状菌によって起こる病害で、防除を怠ると梅の実が1.5cm程度の大きさになった頃に最初は暗緑色、後に2〜3mmの黒い斑点が沢山でき、果実の商品価値が著しく低下します。葉では比較的小さな丸い暗褐色―黒褐色の病斑ができ、やがて中心部が抜け落ちて穴があきます。

 果樹などの永年作物では、枝の病斑部や芽で越冬した病原体が翌年の発病の伝染源になるという特徴があります。黒星病の場合にも罹病した枝が伝染源になります。緑の枝では赤褐色、褐色になった枝では濃褐色楕円形の病斑ができ、時には輪紋を生じ、越冬期には病斑の中心部が銀灰色になることもあります。病原菌の生育適温は18〜24℃とされ、春になり温度が上昇すると病斑部に淡褐色で長楕円形の分生胞子が形成されるようになり、これが雨滴とともに飛散して葉や果実に新たな感染を起こします。したがって、春先に高温で雨が多い年に発病が多くなることが知られています。

 本病の防除は主に薬剤散布によって行いますが、伝染源を取り除く冬の剪定作業も非常に大切な防除対策の一つです。薬剤防除には開花前の早い時期の石灰硫黄合剤の散布と新葉が展開し新たな感染が始まる時期のその他の殺菌剤の散布があり、感染初期に樹全体に薬剤がよく付着するよう十分な量を散布することで高い防除効果が上げることができます。

 シンジェンタからは黒星病防除剤としてスコア水和剤10スイッチ顆粒水和剤の2種類の薬剤が登録されており、スコア水和剤10は浸透移行性と耐雨性に優れ、スイッチ顆粒水和剤は耐雨性と残効性に優れており、いずれも高い防除効果を示します。

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問
     吉野 嶺一

2005年2月16日掲載

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→→第42話 水稲初期の害虫対策のポイント (1)

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