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第37話 ミカンキジラミの発生地域の拡大
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第37話 ミカンキジラミの発生地域の拡大―カンキツグリーニング病の媒介虫―
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今年の真夏日日数の最多記録が話題となっていますが、地球温暖化は虫の世界にも大きな変化をもたらしているようです。
南方産のナガサキアゲハが関東地域でも見られるようになり、2000年には東京で採集され、神奈川県が北限とされていた大きな声で鳴くクマゼミも東京で見られるようになっています。
害虫の世界でも、これまで北限とされていた地域から北上している害虫が増えてきています。分布地域の拡大は、害虫だけでなく、当然、害虫によって媒介される昆虫媒介性病害の拡大にも関係しています。それらの害虫の中で、最近大きな話題となっているのがミカンキジラミです。
☆ミカンキジラミの発生地域の拡大とカンキツグリーニング病
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写真1:ミカンキジラミ成虫 |
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| 写真2:ミカンキジラミ幼虫 |
カンキツグリーニング(CG)を媒介するキジラミには、ミカンキジラミ(写真1、2)とトガリキジラミ科の1種である2種類がいますが、前者は、アジア地域、後者はアフリカ地域に分布することが知られています。
ミカンキジラミはアジアの熱帯、亜熱帯地域に分布する他、ブラジルにも分布していました。ところが、1998年にはアメリカのフロリダ州で、2002年にはテキサス州で発生が確認されその発生地域が拡大しています。その他、パプアニューギニアでも新しい発生が確認されています。
わが国では奄美大島以南での発生がこれまで認められていましたが、2002年には鹿児島県の屋久島において発生が確認され今後の発生地域の北上が懸念されています。
ミカンキジラミが寄生しても植物にあたえる被害はほとんど問題になりませんが、カンキツグリーニング病(CG)を媒介することが重大な問題なのです。CGを引き起こす病原体は細菌の1種で、キジラミ体内やカンキツ樹内で増殖し、カンキツで発病すると(写真3)、樹は衰弱し(写真4)最後は枯死する恐ろしい病気です。
東南アジアの各地ではこの病気のためにカンキツ産地が次々と消滅してしまいました。私も10年程前キジラミとCG調査のためインドネシアに行きましたが、罹病したカンキツ樹を伐採して焼却することが、周囲に広がることを防ぐための唯一の防除手段でした。
ミカンキジラミはミカン科の植物にしか寄生しませんが、ゲッキツ(写真5)を好む習性があり、増殖もカンキツよりゲッキツが適しているようです。
わが国では、ゲッキツの自然界における分布は熱帯や亜熱帯に限られていますが、カンキツ科の植物は九州、四国、本州に自生していることやゲッキツが盆栽愛好家などに植木として利用されていることから、キジラミが侵入した場合、これらがキジラミやCGの寄主植物となる可能性もあります。もし、キジラミとCGの本土における定着が起こるようなことがあれば、わが国のカンキツ産業は大きな打撃をうけることが考えられます。
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写真3:カンキツグリーニング病の カンキツにおける症状 |
写真4:カンキツグリーニング病 により衰弱した樹 |
写真5:民家の生垣に利用 されているゲッキツ |
☆防除対策
CGの病原菌は細菌の1種で、これまで多くの試験が実施されていますが、農薬で防除された事例はこれまで報告されていません。
CG病に対する有効な農薬がないので、カンキツにCGを感染させないようにするためには媒介虫のミカンキジラミをカンキツ樹に寄生させないことが唯一の防除手段となります。ミカンキジラミは殺虫剤に対する感受性が高いため、カンキツ園内の防除は比較的容易ですが、周囲にゲッキツなどの寄主植物があるとそこで増殖したキジラミが飛来し、CGを感染させることになります。したがって、カンキツ園だけでなく周囲のゲッキツを主とした寄主植物のキジラミ防除が大切になります。
ミカンキジラミに登録のある当社の農薬にスプラサイド乳剤40とアクタラ粒剤5、アクタラ顆粒水溶剤があります。詳しいことは当社のホームページでご覧下さい。
(写真提供 鹿児島県農業試験場 大島支場 主任研究員 林川修二氏)
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シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問 古橋 嘉一 2004年10月12日掲載
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→→第38話サツマイモの害虫と天敵の働き
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