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第34話 キャベツの菌核病
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第34話 キャベツの菌核病
 | | 写真1:菌核病で腐敗したキャベツ |
キャベツはヨーロッパ南部の沿岸地域が原産地とされる野菜で、ヨーロッパでは非常に古い時代から利用・栽培されてきた野菜です。わが国には江戸時代に入ってきましたが当初は観賞用の「葉ぼたん」として栽培され、食用として本格的に栽培されるようになったのは明治に入ってからであると記されています。トンカツなどいわゆる洋食の普及につれてそれに添える刻みキャベツの需要が増し、生産量の急激な伸びの一因になったともいわれています。
農業の分野ではコマツナやホウレンソウなどのように葉の部分を食用として利用する野菜を葉菜類(ようさいるい)と呼んでいます。最近は栽培面積が25,500haと若干減少してきましたが、キャベツはこれらの葉菜類の中では最も広く栽培されており、年間を通して何時でも手に入れることができ、色々な調理法で利用される親しみのある野菜になっています。
キャベツ畑に飛び交うモンシロチョウに象徴されるように、キャベツ栽培では虫の被害が大きいのですが、黒斑細菌病、黒腐病、軟腐病などの細菌病や萎黄病、根朽病のような糸状菌による土壌病害も時によっては大きな被害をもたらします。今回取り上げた菌核病は厳密な意味では土壌病害ではありませんが、土の中で休眠していた菌核が伝染源になっている重要な病害です。病原菌はスクレロチニア スクレロチオラムという子のう菌に属する糸状菌の一種です。ネズミの糞によく似た黒色で大形の菌核を作るのが特徴で、この菌核の有無で他の病害と容易に識別することができます。地表近くで年を越した菌核は温度が適温に達し、水分と酸素が十分に供給される条件になると小さなキノコを作り、そこから飛び出した子のう胞子が生活力の衰えた下葉や葉・葉柄の傷口から侵入して病気を引き起こします。この病原菌はキャベツや他のアブラナ科作物だけでなく、ナス科、ウリ科、マメ科など多くの植物種を侵すことができる代表的な多犯性の病原菌の一つで、「日本植物病名目録」には92種類もの植物の病原菌として記載されています。
スクレロチニア スクレロチオラム菌は大変生活力がある病原菌であると言えそうです。
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| 写真2:罹病球に形成された黒色大形の菌核 | 写真3:(写真2の菌核部分を拡大) |
キャベツの菌核病は結球期頃から発生しはじめ、比較的低温の気温20℃前後で曇雨天が続く時に多く発生することが知られています。初めは下葉の葉柄の付け根近くに水浸状の病斑ができ、次第に病斑が茎・葉柄を伝わって結球部にまで進展し、腐敗を起こします。症状が軟腐病による腐敗に似ていますが悪臭はなく、罹病した結球葉をはがしてみると、内部に白色綿毛状の菌糸と黒い大型の菌核を見つけることができます。この菌核は土壌中で4〜6年間は生存でき、次年度以降の伝染源になります。
本病を防除するためにはイネ科作物との輪作を行う、発病株をできるだけ早く抜き取る、深耕して菌核を土中深く埋め込むなどの耕種的管理を行うとともに、発病前からの予防的な薬剤散布を行うことが大切です。シンジェンタからは、フルジオキソニル剤のセイビアーフロアブル20の1,000倍液散布が登録されており、また、本年6月にはアゾキシストロビン剤のアミスター20フロアブルの2,000倍液散布が新たな防除剤として登録になりました。
(写真提供 タキイ種苗株式会社 駒田 旦 氏)
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シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問 吉野 嶺一 2004年7月20日掲載
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