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第32話 タマネギのべと病
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第32話 タマネギのべと病
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季節感という言葉があります。新緑の頃にスーパーの店頭で見かけるようになる新タマネギも季節の移り変わ
りを感じさせてくれる野菜の一つと言えるのではないでしょうか。季語の本にこんな句が紹介されています、
「新玉葱研ぎしばかりに刃に応う (岡本まち子)」爽やかなみずみずしさが伝わってきます。
ユリ科の植物で中央アジア原産とされるタマネギは、栽培の歴史が非常に古く、エジプトでは紀元前2500年
より以前から栽培されていたという記録があるそうです。日本では明治時代になってから栽培が始まりましたが、
現在では家庭料理に欠かせない食材としてすっかり定着しています。生産面で北海道・兵庫・佐賀県を中心に
約29,000haの畑で栽培され、収穫量がダイコン、キャベツに次いで第三位という重要な野菜になっています。
そこで今回はタマネギの病害について書いてみることにします。
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写真1:タマネギのべと病1 |
タマネギは比較的作りやすい作物とされていますが、それでもべと病、白色疫病、灰色かび病や灰色腐敗病、軟腐病、さび病などいくつかの病気が問題になります。中でもべと病は防除を必要とする重要な病害となっており毎年2000ha以上の畑で発生しています。
べと病は土壌中に残って生存している卵胞子が伝染源となって発生する病害です。ぺロノスポラ デストラクターという卵菌類に属する病原菌の感染によって起こり、その卵胞子は土の中で12年程度もの長期間生残できると報告されており、連作圃場で発生が多くなる傾向があります。また、気温が15℃前後で、植物体の表面に水滴ができやすい気象条件で感染しやすく、季節的には秋から春に感染が起こりやすいとされています。葉に黄白色の楕円形から長卵形の病斑ができ、やがてその上に白色―暗紫色のかびを生じて分生子を作り、降雨が続くと二次感染を繰り返して多発生となります。また、早春の感染によって株全体の葉が光沢を失って淡黄緑色となり、草丈が低くなる全身感染症状が発生することも報告されています。
べと病菌や疫病菌のように有性生殖によって卵胞子を作る菌類は卵菌類と呼ばれてきました。
この卵菌類にはもう一つ大きな特徴があります。うどんこ病菌や灰色かび病菌など多くの菌類では細胞壁が主としてキチンとヘミセルロースで作られているのに
対し卵菌類ではセルロースとグルカンで構成されています。このような細胞壁構成の違いもあって卵菌類に有効な防除薬剤は普通の菌類病に較べると種類が限られています。
分子生物学的な最近の研究でも卵菌類と他の菌類との違いが明らかにされてきており、菌界に属する菌類とは別のクロミスタ界に属する微生物として卵菌類を位置付けた方がよいという考えが広まりつつあります。
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写真2:たまねぎのべと病2 |
タマネギべと病菌でも薬剤耐性菌が発生しています。作用特性の違う薬剤を上手にローテーション使用して確実な防除を行ないたいものです。
シンジェンタからもマンゼブ剤とメタラキシル剤との混合剤であるリドミルMZ水和剤が登録されており、また新しくフォリオブラボ顆粒水和剤が登録されました。
本剤は病原菌に対する作用点が異なるメタラキシル剤と保護効果が高いクロロタロニル剤との混合剤で安定した効果が期待されます。
(写真提供 兵庫県農林水産技術総合センター農業技術センター 長田 靖之氏)
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シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問 吉野 嶺一 2004年5月18日掲載
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