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第31話 ウィルス病の媒介害虫
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第31話 ウィルス病の媒介害虫 -アブラムシとアザミウマ-
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媒介害虫と植物ウィルスの特徴
 写真1:モモアカアブラムシ成虫 |
 写真2:ワタアブラムシ |
 写真3:ニセダイコンアブラムシ |
昨年はヒトが(SARS)、今年はトリの「鳥インフルエンザ」が大きな問題になりました。SARSは「SARSコロナウィルス」、鳥インフルエンザは「鳥インフルエンザウィルス」。どちらもウィルスによって起こる病気でした。
植物もウィルスに感染し病気になりますが、その感染媒介には害虫類が大きな役割を果たしていることが知られています。ウィルスを媒介する代表的な害虫はアブラムシですが、その他にコナジラミやヨコバエ、ウンカ、アザミウマ、カイガラムシ、ダニ、センチュウなどの害虫類も植物を加害し、またウィルスも媒介します。その他の生物では、一部の菌類にもウィルスを媒介する例が知られています。
植物ウィルスは世界中では約700種、わが国では220種ほどが知られています。1種類の植物に何種類ものウィルスが感染することもあり、また1種類のウィルスが何種類もの植物に感染し、ウィルスの種によってその寄主範囲はまちまちです。
イネに寄生するウィルスのなかには昆虫の体内でも増殖するものもあります。ヒトも含めて、植物ウィルスが動物に何らかの影響を与えたという例はないので、我々が植物ウィルスを恐れる必要はありません。
ウィルス病は、インフルエンザやエイズのようにヒトを含めた動物にも特効薬が無いように、植物にも特効薬が無いやっかいな病気です。
今回は、ほとんどの植物ウィルスを媒介するアブラムシとアザミウマについて、主な媒介ウィルスとその防除対策について述べることにします。
アブラムシとウィルス病
アブラムシは野菜やダイズ、花、柑橘などでウィルスを媒介することが知られており、野菜、花ではそのほとんどのウィルス病はアブラムシの媒介によって起こるものです。
主なウィルス媒介アブラムシとしては、モモアカアブラムシ(写真1)、ワタアブラムシ(写真2)、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ(写真3)、ジャガイモヒゲナガアブラムシなどがあります。
 写真4:キュウリモザイクウィルス によるメロンの症状 | ★モモアカアブラムシ類:アブラムシのなかでも寄主植物の多いアブラムシです。ウィルスに罹病した作物の汁液を吸汁すると、アブラムシはウィルスを保毒します。そして別の作物に移った時にその作物を吸汁することにより、ウィルスを伝播することになります。しかしアブラムシに取り込まれたウィルスの寿命は短く、そのアブラムシの次世代へは感染しません。このアブラムシが媒介する代表的なウィルスはキュウリモザイクウィルス(CMV)(写真4)、カブモザイクウィルス(TuMV)などですが、前者は多くの作物に発生するすることで有名です。
アザミウマとウィルス病
ミカンキイロアザミウマ(写真5、写真6)、ミナミキイロアザミウマ(写真7)、ネギアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、ダイズウスイロアザミウマなどがウィルス媒介虫として知られています。これらのアザミウマが媒介するウィルス病にトマト黄化えそウィルス(TSWV)(写真8)があります。
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 写真5:ミカンキイロ アザミウマの成虫 |
 写真6:ミカンキイロ アザミウマの成虫頭部 |
 写真7:ミナミキイロ アザミウマの頭部 |
 写真8:トマト黄化えそ ウィルスによるトマトの症状 |
 写真9:トマト黄化えそウィルス によるキクの症状 | ★ミカンキイロアザミウマ:アザミウマ類のなかでミカンキイロアザミウマはTSWV媒介能力の高いことが知られています。アザミウマの1令幼虫がウィルスを獲得し、羽化した成虫が植物を移動し、ウィルスを伝播します。しかし、その成虫が産卵する卵にはウィルスが感染していることはありません。
このウィルスは非常に広い範囲の植物に感染する病気で、マメ科やキク科(写真9)、ナス科では感染すると全身に激しい病徴を示します。
防除対策
前にも述べたように、ウィルスに効く農薬はないので、ウィルス病が発生したら、周囲に広がらないように、それらを抜き取って埋めたり焼却処分することです。
また、ウィルスを害虫が媒介しなければ、ウィルス病には感染しないことになるので、伝染環を完全にたち切り、アブラムシやアザミウマを植物に寄せ付けないようにすればウィルスを媒介されないことになります。この手法として、農薬による媒介虫の防除があります。
当社のアクタラ粒剤5は野菜の定植時の植え穴処理や育苗期後半の株元処理でアブラムシ類やアザミウマ類を長期間に亘って防除できる薬剤です。適用の内容など、それぞれの詳細についてはホームページをご覧下さい。
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シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問 古橋 嘉一 2004年4月15日掲載
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