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害虫と病気の話

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 第30話 中国の農業と病害虫防除 -(3)登録農薬と農薬使用の実態-

登録農薬

 中国で使われている農薬を農薬会社のホームページで検索すると、我が国で使われているほとんどの農薬が販売されていますが、我が国では登録のない農薬も含まれています。1999年における中国の登録農薬数は国産2463剤、輸入637剤で合計3100剤が登録されています。殺虫剤が最も多く1712剤、殺菌剤547剤、除草剤489剤の順でダニ剤や殺線虫剤、殺鼠剤、その他を含め3100剤となります。このなかで興味深いのは国産品の殺虫剤で、2種混合剤が698剤あり、単剤の543剤よりも多いことです。3種以上の混合剤も166剤もあります。これら混合剤の内容についてみると、合成ピレスロイド剤を3種、2種混用した剤や、「2種の有機リン剤にカーバメート剤や合成ピレスロイド剤」、「有機リン剤+カーバメート剤+合成ピレスロイド剤」「合成ピレスロイド剤2剤+有機リン剤」などさまざまな組み合わせの混合剤が登録されていることです。このような2剤、3剤の混合剤が散布された害虫はどのような抵抗性となるのでしょうか?

柑橘の黒点病は病気ではない?

写真1:黒点病
(中国では病気ではない?)
 1991年中国の浙江省に柑橘の技術指導に行き、ある大学の講義で日本の重要な柑橘病害の話をしましたが、黒点病(写真1)の話をすると、中国にはそんな病気は無いという返事でした。1998年に中国農業出版社から浙江省大学の徐教授が出版した「柑橘病虫草害防冶」にも黒点病の記載はありませんし、他の本を調べてもありませんでした。
中国では収量に影響せず、2次感染しない黒点病は病気としての認識はなかったようです。
しかし、2003年に訪問した際、農薬のパンフレットに「黒点病」の名前を始めて発見しました。計画経済から市場経済となり、生産量も1千万トンを超えるようになると、味とともに外観のきれいさも消費者から求められるようになってきたようです。

農薬の散布方法

写真2:散布スタイル
(散布時の安全性には配慮していない)
 中国の農家の平均栽培面積は14アールで小規模な農家が多いということは前にも述べましたが、それでは病害虫防除はどのようにやっているのでしょうか?
農村で良く見かける防除器具は10リットルタンクの背負式噴霧器を使っての防除です。 (写真2、3)指導に行った浙江省の農場では24ヘクタールの柑橘園にこの噴霧器で薬剤散布をしていました。農場では労力が余っているので、動力噴霧器は必要ないとの返事でした。
手押し式(写真4)や動力噴霧器(写真5)を使用している農家の例もありましたが、動力噴霧器が普及しているのは100ムー(1ムーは6.66アール)以上の栽培規模の大きな農家の場合が多いようです。

写真3:多く使われている
背負式噴霧器
写真4:手押し式噴霧器
(散布時の安全性には配慮していない)
写真5:動力噴霧器

今後の中国の植物防疫は?

 中国は世界の野菜貿易量の約30%を占める輸出国です。2002年7月2日付け人民日報は農業部の発表として「2005年頃までに国際的な標準に達した残留農薬標準システムを完成しているだろう」と報道しています。現在、政府主導で有機農産物に相当する「緑色食品」生産がこの方針によって進められています。この生産方式が軌道にのった時、輸出される野菜や花は、わが国の農産物にとって大きな脅威となるかもしれません。


シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問
     古橋 嘉一

2004年3月18日掲載

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