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発生生態:
アカヒゲホソミドリカスミカメはイネ科植物でしか繁殖できません。秋にメヒシバやエノコログサなどの葉鞘に卵を産み付け、その卵で冬を越します。北海道でも全く問題なく越冬していますので、この越冬卵はかなり寒さに強いようです。春になって暖かくなってくると卵の発育が始まり、幼虫がふ化します。幼虫は近くにあるイネ科雑草の葉や茎、穂を餌として大きくなり、やがて羽の生えた成虫になります。基本的にこのようなサイクルを繰り返すのですが、年間に繰り返す世代数は地方によって異なっていて、暖かい地方ほど回数が多くなります。北海道では3回、東北地方では4〜5回、北陸地方では5〜6回くらい発生します。
斑点米のできるまで:
このようにイネ科植物で繁殖するアカヒゲホソミドリカスミカメですが、出穂前のイネでは基本的に繁殖していないようです。しかし、イネが出穂してくると一斉に成虫が水田の中に入ってきます。おまけにイネに卵を産み、そこから幼虫も出てきます。つまり、出穂後のイネでは繁殖を行っているのです。このような繁殖、増殖の過程で餌となるイネから栄養をいただいた結果、斑点米を作っているのです。斑点米カメムシ類は玄米から栄養をとる場合、針のような口(口針)が玄米に到達すると消化液を出して玄米のデンプンを溶かしながら吸います。その消化液で溶かされた部分はカメムシだけでなくバクテリアやカビにも良い餌となるので、後にこれらの菌が繁殖し褐色や黒色になります。これが斑紋となって玄米の表面に残り斑点米となるのです。
このアカヒゲホソミドリカスミカメの口針は強くなく、籾殻を通して玄米に到達することができないので籾の隙間を探して玄米を狙ってきます。イネの登熟初期は頂部の開口部から、登熟中〜後期は内穎と外穎の間にできた隙間(割れ籾またはふ割れという)から玄米を吸います。そのため、登熟初期の加害が多いと頂部斑点が中〜後期の加害が多いと側部斑点が多くなります。水田での増殖との関係からいうと、出穂後に一斉に入ってくる成虫に加害された場合は頂部斑点となり、増殖した幼虫に加害された時や外から飛び込んできた成虫に加害された場合は側部斑点が発生しやすくなります。逆に言うと、斑点米をみるといつごろ加害されたか大体わかるのです。
防除対策:
防除対策は大きく分けて二つあります。一つは水田の中に入ってくるカメムシの量をできるだけ少なくするよう餌となるイネ科雑草を管理すること。もう一つは水田の中に入ってきたカメムシや増殖したカメムシから加害されないよう殺虫剤を散布することです。雑草管理で大事なことはイネの出穂前までに畦畔や農道、休耕田、転作牧草を何回か刈り取ったり、耕起して雑草が出穂しないように管理することです。さらに地域で連携して一斉に行うことでより効果が上がります。場合によっては除草剤を利用するのも有効です。
薬剤散布は薬剤の選択と散布時期が重要です。主な薬剤は粉剤や液剤ではMEPやPAPなどの有機リン剤(BPMCなどのカーバメート剤との混合剤を含む)、エトフェンプロックスやシラフルオフェンの合成ピレスロイド剤や有機ケイ素剤、ジノテフランやクロチアニジンなどのネオニコチノイド剤です。有機リン剤は残効は短いですが殺虫効果は高く効果は安定しています。合成ピレスロイド剤や有機ケイ素剤は残効がさらに短く殺虫効果がやや弱いため、時に効果が不安定になる場合があります。これに対し、ネオニコチノイド剤は残効が長く殺虫効果が高いため、アカヒゲホソミドリカスミカメに対しては最も効果が高いと言えます。散布時期は、頂部斑点が多い場合はイネの登熟初期に重点を置いて出穂期〜穂揃期とその7〜10日後とし、側部斑点が多い場合は穂揃期〜傾穂期とその後の幼虫の発生時期に合わせて薬剤散布を行うといいようです。
最近、ネオニコチノイド剤の粒剤でアカヒゲホソミドリカスミカメを防除できるようになりました。粒剤の場合は湛水状態で穂揃期〜穂揃10日後の間に1回散布するだけで効果が期待できます。
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