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害虫と病気の話

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第9話 イネいもち病

 今年も各地でそろそろ田植え風景が見られる季節になりました。機械化によって植付け方法こそ変わりましたが、昔ながらの活気に溢れる光景に接すると和やかさと爽やかな季節感を感じるのは私だけではないと思います。
 「イネの病気」と言うとまずいもち病を思い起こす人が多いことと思います。発病が急速に進展するばかりでなく、減収などの被害に直結することから、世界のイネ栽培国の多くで、いもち病は極めて重要な病気になっています。わが国でも昔から全国的に被害が大きい病気としてよく知られており、抵抗性品種の育成や防除方法の開発などの研究が続けられてきましたが、広く栽培されている「コシヒカリ」などの品種はいもち病に弱く、今でもいもち病が多発生している田圃を何処かで見ることができます。

 いもち病の主な伝染源は種もみです。穂いもちが多く発生した圃場から収穫したもみには一見健全そうに見えてもいもち病菌が沢山付着しています。また、ほとんど穂いもちが発生しなかった圃場から収穫したもみでもいもち病菌が付着していることがあります。このような種もみを播種すると発芽した苗に苗いもちが発生し、隣接した苗に次々といもち病が拡がって行きます。したがって、種子消毒をしっかりと行なうことはいもち病防除のための非常に大切な作業です。現在、登録・市販されている種子消毒剤はどれも優れたいもち病防除効果を持っていますが、時には消毒されきれなかったもみが混ざることがあり、このような場合にも苗にいもち病が出る危険性があります。もう一つの重要な伝染源として「稲わら」があります。畜産や施設栽培で敷きわらなどに使用された「稲わら」が育苗床近くに置かれている場合に、わらの病斑部に作られた胞子が飛散して、苗にいもち病を起こした例がいくつか報告されています。育苗中の衛生管理も大切な防除技術の一つです。

 

 育苗箱では初期には病斑が下葉にあるため、苗を上の方から見るだけでは病斑を見つけることが困難です。苗を分けるようにして発病の有無を調査して、一つでも病斑が見つかったら直ちに散布剤で防除することが必要です。いもち病は蔓延の速度が速いので防除の遅れは育苗床全体の発病につながります。いもち病に感染した苗を植え付けることを「持ち込み」と呼んでいます。持ち込み圃場では健康な苗を移植した圃場より葉いもちの発生が早く始まることが多く、それだけ激しい発生となることが多く報告されています
持ち込みの場合だけでなく、本田での葉いもちの発生時期が早い場合には発病が激甚になる危険性が大きいため、最近では本田の葉いもちを箱粒剤によって防除している地域が増加しています。少ない労力で長期間発病を確実に抑え、他の病害虫を同時に防除できることが歓迎されているものと考えられます。
 シンジェンタからは、いもち病の箱粒剤防除剤としてデジタルコラトップ箱粒剤、バイオン粒剤2、また、イネミズゾウムシなど初期害虫といもち病の同時防除剤としてアリババ箱粒剤が登録されており、殺菌殺虫剤のデジコラアクタラ箱粒剤が近々登録される見込みになっています。今回は育苗期と本田初期のいもち病防除の話になってしまいました。この続きはまた後日書くことにしよう。

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問
     吉野 嶺一

2002年4月26日掲載

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→→第10話「甜菜栽培における防除の歴史」

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