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第3話 コムギ雪腐病
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第3話 コムギ雪腐病
「かび」という言葉を聞くとじめじめして蒸し暑い梅雨の頃を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「かび」は専門的には「菌類」あるいは「糸状菌」と呼ばれており、植物の病気の75%近くが菌類によって引き起こされています。菌類は他の微生物とともに動物、植物と並んで地球の物質循環の一端を荷っている生物群であり、その中には性質が違ったいくつもの種類が含まれています。私たちが日常親しんでいるシイタケやマイタケなどの「きのこ」もこの菌類の仲間です。菌の種類によって多少は違いますが、作物に病気を起こす菌類の多くは温度20-30℃、高い湿度の環境の下で活動しています。しかし、中には特殊な環境でも旺盛に活動できる菌類があり、その例の一つとして、麦類や牧草の雪腐病菌があります。 |
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北陸・東北・北海道などの北国では、長かった根雪が融け始めると畑のコムギがすっかり腐ってしまった状態で姿を現わすことがあります。普通には「雪害」と呼ばれていますが、これは主に雪腐病が多発生したことによるものです。雪が積もった下の地表面では、太陽の光がとどかず暗黒、温度は0℃前後、高い湿度状態になっており、このような環境の下では、コムギなどの作物は体内に貯蔵した養分が次第に減少し、消耗して雪腐病菌の侵害を受けやすくなります。地温、土壌の種類、排水の良否などの条件によって発生生態が違う6種類の雪腐病が知られていますが、いずれの病害の病原菌もほぼ-6〜+20℃で生育でき、雪の下にある作物を侵害します。作物が雪の下にある期間が長くなるほど被害は大きくなり、根雪日数が100日を越えるとその被害は甚大になると言われています。
雪腐病の病原菌はいずれも土の中で夏を越し、秋になると胞子を作ったり、菌糸を伸ばしたりして作物を侵害しますが、モノグラフェラ ニバリスという菌によって起こる紅色雪腐病は種子によっても伝染します。この紅色雪腐病は北海道や本州でも山間地帯とくに火山灰土のように排水が良い圃場で多く発生することが知られています。したがって、雪腐病の防除には、耐雪性の強い品種を適期に播種をして根雪前に丈夫な植物体を作っておくこと、融雪を促進すること、根雪前に防除薬剤を散布すること、などが必要であり、紅色雪腐病の防除には薬剤による種子消毒も必要になります。
紅色雪腐病にはもう一つ特徴があります。それは雪どけ後に再生した葉や穂にも病気が発生することです。穂では感染した頴の合わせ目に鮭肉色のがびを生じるので「赤かび病」と呼ばれます。この病気は九州や本州ではフザリウム グラミニアルムという菌で起こりますが、北海道では主に紅色雪腐病菌によって起こります。赤かび病はコムギの開花期前後に雨が多いと多発生します。天候の推移に注意し、防除を怠らないようにしたいものです。
シンジェンタからは、紅色雪腐病に対する種子消毒剤としてアミスター20フロアブル、紅色雪腐病と雪腐小粒菌核病の根雪前散布剤としてチルト乳剤25、出穂後の赤かび病防除剤としてアミスター20フロアブルおよびチルト乳剤25が登録されています。
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シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問 吉野 嶺一 2001年11月15日掲載 |
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→→第4話「果樹のカメムシ−チャバネアオカメムシ−」を読む
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