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第1話 イネ紋枯病
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イネ紋枯病
7月下旬と8月前半のやませの訪れで北海道・東北などではイネの出穂が遅れ気味だとのニュースを耳にして、冷害の発生や長雨による北東北でのいもち病の多発生が少し気になっている最近です。一方、西日本では相変わらず30℃を越える猛暑が続いていて水不足も現実的な話題となっています。地域による変動が大きい夏というのが今年の夏のお天気への印象ではないでしょうか。 1972年にストックホルムで開かれた国連人間環境会議の「人間環境宣言」で、地球環境問題への対応が課題として取り上げられてから、世界各国で様々な努力が行われていますが地球の温暖化は確実に進行しています。気象庁の報告を見ると、世界の年平均地表面気温は百数十年前に比べて1.0℃程度も上昇しています。去年の同地表面気温も平年値に比べて0.51℃も高く、温暖化の傾向が顕著になってきています。また、地球の温暖化は決して一様に進行するのではなく、集中豪雨・低温などの極端な気象が現れやすくなるとも言われています。今年の夏のお天気もこのような地球温暖化の現象の一つなのでしょうか。
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一昨年・昨年と日本の稲作では平年より早い出穂とカメムシ被害の多発生が話題になりました。生物にはそれぞれの生物の生存・増殖に適した温度があり、生育適温などと呼ばれています。
環境の変化に応じて作物の生育様相や発生する病害虫の種類・発生状況が変わってくるのは当然のことです。環境が変わりつつあるということを認識して作物栽培や防除に取り組むことが必要な時代になっていると言えます。
イネの病害の中で、比較的高温の条件で発生が助長される主な病害として紋枯病、もみ枯細菌病、ごま葉枯病菌などによって起こる穂枯れ症などがあります。この内、紋枯病は日本では発生面積が最も多い病害ですが、良食味米作りのため窒素施用量が少なくなり、紋枯病による大きな被害が見られなくなったためか、最近では余り重要視されていないように思えます。
ところが昨秋、茨城・栃木など関東地域では思いがけない紋枯病の多発生に見舞われ、発生が激しかった水田では止葉が黄化し、遠目からでも多発しているのが分かるほどでした。出穂後の高温と何回も通過した台風に伴った降雨がこのような多発生をもたらしたものと考えられます。高温多湿は紋枯病多発生のキーワードです。
紋枯病の抵抗性品種はまだ見つかっておらず、温度・湿度条件が病原菌に好適でさえあれば栽培されているどの品種でも紋枯病が多発生すると言えます。紋枯病は菌糸によって蔓延し、出穂前には茎から茎、株から株へといった水平方向への発病進展(発病株率の増加)が主体ですが、出穂後には上位方向への発病が進み、止葉など上位の葉鞘に発病するほど、しいなの増加・米粒品質の低下などの被害が大きくなリます。また、紋枯病は倒伏の発生を助長します。紋枯病の発生を抑えるためには、施肥管理に気を付けるとともに、発病株率の増加や上位葉鞘への発病進展を防ぐための薬剤散布が必要です。まだ、有人ヘリでしか使えませんが、シンジェンタからはアミスターエイトという薬剤が登録されています。アミスターエイトを穂いもちの防除適期である穂ばらみ期や出穂期に散布すると、穂いもち、紋枯病、穂枯れ症などの発生を抑え、仕上りが美しいイネを作ることができます。 |
シンジェンタ ジャパン株式会社 開発本部 技術顧問
吉野 嶺一
2001年8月30日掲載 |
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→→第2話「アザミウマ(スリップス)類」を読む
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