九条ねぎに特化し、栽培から加工、販売を手がける「こと京都」
年商15億円(2016年)企業に発展するまでの道のり

2018/11/9(金)

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  • こと京都(株)農産部部長兼こと美山(株)取締役副社長、加茂亮さん

    こと京都(株)農産部部長兼
    こと美山(株)取締役副社長、加茂亮さん

九条ねぎの栽培から加工、販売を手がける農業生産法人こと京都(株)。
1995年に就農後、わずか20年で年商15億円の企業へと成長しました。
発展させた理由はどこにあったのでしょうか。
こと京都(株)農産部部長の加茂亮さんにお聞きしました。


多品目栽培から、九条ねぎに特化した栽培・加工で成功

  • ねぎのカット加工を行う向島工場

    ねぎのカット加工を行う向島工場

──御社の概要について教えてください。

弊社は代表の山田敏之が1995年3月にアパレル会社を脱サラし、父親のあとを継ぐ形で就農したのがはじまりです。
当時は多品目栽培を行っていましたが、1997年に九条ねぎの栽培に特化し、2000年3月からカット加工を始めました。
現在はこと京都(株)、こと日本(株)のふたつの法人でねぎの栽培、加工、販売に取り組んでいます。
こと京都(株)は京都府内の生産者約30名と、弊社の農産部で栽培した九条ねぎを取り扱っています。
こと日本(株)は全国の生産者が対象で現在は7法人(九州、香川、高知、徳島、静岡、愛知)と取引をしています。

――九条ねぎに商機があると思われたのはどのような点だったのでしょうか。

九条ねぎは食味はもちろん風味がよく、周年栽培ができる点が決め手でした。
最高で年に4回収穫することが可能です。
追肥や防除費用などのコストはかかりますが、それらを考慮しても効率のよい作物です。
また、京都の伝統野菜のひとつとして認知がある作物なので、京都九条ねぎというブランド力も魅力でした。

――伝統野菜の九条ねぎとは、どんなねぎなのでしょうか。

青ねぎと白ねぎに分かれる部分に、ふんわりと丸みがあるのが大きな特徴です。
葉はやわらかいながらも食べ応えがあるので薬味にしても味がいいのです。
一方で美味しさに繋がっているそのやわらかさが倒伏しやすいという欠点にもなっています。
弊社では九条ねぎに、九条ねぎ系のあんじょうねぎなどを掛け合わせたものを4品種の種を使って生産しています。
また、弊社で生産する九条ねぎは産地・栽培方法の他に、50%以上の種を使用したものと限定することで、他のねぎとの差別化を図っています。
こと日本で作っているものも他府県産ですが九条ねぎです。
京都の九条ねぎと味が変わらないように品種は統一しています。

  • 九条ねぎ畑

    九条ねぎ畑

  • 九条ねぎ

    九条ねぎ

躍進のきっかけは業務販売の成功

――カット加工を始めたきっかけを教えてください。

最初はラーメンの薬味を作る卸業者からの依頼があって始めました。
ただ、それだけでは売り上げは伸びないので、販売先を開拓しようと、代表が東京に営業に行きました。
カット加工を始めた2000年前後は、ちょうどラーメンブームが起こっていた頃。
グルメ本を片手に都内の店舗を飛び込み営業して回りました。
当時、農家が東京まで営業に来ることが珍しかったことと、カットした九条ねぎをその場で食べて鮮度の良さと美味しさを実感していただいたことで、次から次へと注文をいただくようになったそうです。
関東では青ねぎ、ましてや当時まだ流通の少なかった京野菜・九条ねぎを食べる習慣がなかったため、ものめずらしさもあったのでしょう。

――就農からわずか20年ほどで、年商15億円(2016年)の企業に成長されたとのことですが、成功に至った理由はどのような点にあったと思われますか?

九条ねぎに特化し、カット加工、販売まで手掛け、それを業務用に販路拡大したことで大きく飛躍できました。
2007年頃から食品の展示会等への出展を通じて、出会った流通や外食産業などカットねぎが欲しい企業にダイレクトに販売させていただくことができたのです。
例えば全国展開をしているたこ焼きチェーン店に弊社のカットねぎを販売し、「九条ねぎフェア」といったキャンペーンを実施していただくなど。
1店舗で使うねぎは1kgであっても全国に300店舗あれば300kgになります。
それが数ヶ月続けば大きな売り上げとすることができます。
流通や外食産業は付加価値のあるものを取り扱い差別化を図りたいと考えていますから、京都の九条ねぎというブランドをうまく活用した展開が期待できます。
そのニーズと弊社のカット加工した九条ねぎがうまくマッチし、販路を拡大することができました。

生産者にとってのメリットは、安定した農業経営ができること

  • 収穫風景

    収穫風景

――生産者にとって御社の事業はどのような魅力があるのでしょうか。

市場への出荷だけに頼らずに、栽培、加工、販売のビジネスモデルを確立してきた点に惹かれている方が多いようです。
弊社は生産者からの買取価格を一定にし、天候などによる不作の時でも変えませんし、豊作の場合でも買い叩くようなこともしません。
カット加工したねぎの販売単価が上がれば、買取価格も上げていきます。
生産者が栽培した農産物を一定価格で販売できれば、農産物は変動の大きい時価の生鮮品ではなく、ある程度の定価を持つ商品となり、農業がビジネスとして成立します。
ビジネスとしての仕組みがあれば、生産者はねぎの品質や収量向上の工夫、病害虫や雑草からの防除栽培、人の雇用、生産コストといった営農管理の検討などができる、時間や心の余裕が生まれます。
そこが多くの生産者に支持されているのだと思います。

――天候などによる農産物の被害をカバーするための仕組みを教えてください。

生産者には1年半前に年間栽培計画を立ててもらっています。
それをもとに弊社の販売計画を立て、天候不順などで足りないときや、逆に豊作のときは調整するようにしています。
ただし、ひとつの法人、ひとりの生産者が栽培するねぎをすべて弊社が購入しているわけではありません。
特定の生産者に頼ると、天候不順などのリスクが大きくなりますから、栽培したねぎのうち、弊社に50%、ほかに50%出荷してくださいと伝えています。
ベストは弊社に30%他社に70%くらいと思っています。
それは生産者自身にもひとつの取引先に依存しすぎないという意味で、むしろよいことだと考えております。

――新規の生産者となる人材の育成なども行なっておられるのでしょうか。

  • 向島加工部レーン

    向島加工部レーン

独立支援研修制度という制度を取り入れています。
研修を通して自発的にも学んでいただければ、誰でも一定水準の九条ねぎを栽培できることを目指した制度です。
弊社の農産部に社員待遇で雇用し、京都市内・亀岡・美山の畑で約5年間の研修を受けて、九条ねぎの栽培技術や農業経営者になるためのノウハウ、事業計画書の作り方などを学んでもらっています。
就農後にも、九条ねぎの全量買い取りプランや、農地の賃借への協力、農機具をはじめとした資材の貸し出しなど、初期費用の負担を軽減する支援も行っています。
2013年から始まりこれまでに13名が学びました。
入社時の年齢は20歳~43歳。
農業高校卒業後に入社してきた若い方たちもいますが、金融や、美容師、漁師、スポーツインストラクターなど前職は様々で一度職に就いた方たちが「この先ずっと仕事をするなら、農業という道を」との思いでいらっしゃいます。

――生産者に対して防除の勉強会なども行っているのでしょうか。

年に3~4回メーカーの担当者に講師になってもらい勉強会をしています。
時間はワンテーマで30分、映像を見ながら防除設計を教えてもらうような内容など、かなり参考になっています。
生産者は防除に関しては新しい情報を知りたいと考えているので、そのニーズに応えられるような情報は常に求めています。

――御社に生産者として協力するためにどんな条件がありますか?

いくつかの基準はありますが、最低限の条件としてGAPの取得をお願いしています。
GAPは安全性の担保になりますし、取引する相手に栽培履歴をしっかり伝えることができるなどのメリットもあり、信頼にも繋がります。
なによりGAPは生産者を守ってくれますから、必須条件です。
こと日本の7法人は取得済みで、こと京都の生産者は、現在進行形で取り組んでいただいています。

ねぎのことなら、こと京都、こと日本となるような事業の拡大を目指す

――栽培するなかでどのような病害虫で困っていますか。

病害では白絹病です。
効果的な薬剤がなくほとほと困っています。
今回の取材でシンジェンタジャパンのユニフォーム粒剤を知ったのでぜひ試してみたいですね。

害虫ではアザミウマとヨトウムシです。
どちらも最近はハイブリッド化していて、平地では薬剤が効かなくなっているのが悩みです。
弊社の農産部では京都市内のほか、府内の亀岡市と美山町で栽培しています。
中山間地で標高300mにある美山町は、通常の薬剤の3分の1程度で防除できますし、発生する害虫の絶対数が少ないので、それほど苦労はありません。
しかし、平地の京都市内は、夏場は高温多湿になるうえに、密集して栽培していることもあり、困っています。

ただ、今年は、京都市内の畑の畝間に緑肥用のマルチ麦を植えたところ、害虫がマルチ麦で発生し、ねぎの畑ではそれほど発生しませんでした。
ねぎよりおいしい作物を植えて、害虫の逃げ場を作った形になったのがよかったのか、まだ理由は明確ではありませんが、来年以降も研究していこうと思っています。

――ねぎ以外の栽培は考えておられないのでしょうか。

今年から美山町で水稲栽培に本格的に取り組み始めました。
こと美山(株)という会社を立ち上げ、私が代表を務めています。
今年は10haの栽培を手掛けました。
3年後は45haが目標です。
メインの品種はあきだわらという業務用米で、流通や外食産業の契約をして栽培しています。
将来的には米も加工を手がけていきたいですね。

――今後、御社の事業をどのように発展させていきたいですか?

  • こと京都(株)農産部部長兼こと美山(株)取締役副社長、加茂亮さん

現在のねぎの栽培から加工、販売の事業をもっと拡大させていくことがもっとも大きな目標です。
ねぎオイルなど加工品の一部を輸出していますが、今後は冷凍のカットねぎをアメリカ・ヨーロッパ圏に輸出していきたいとも考えています。
九条ねぎに特化してきましたので、ねぎのことなら、こと京都、こと日本といわれるよう、事業を拡大していきたいですね。
そのためには物量が必要なので、多くの生産者とつながってねぎの栽培量を増やしていかなければならないと考えています。
価格は市場が決めるのではなく、生産者が決める。
生産者の安定収入を確保し、健全な経営を行えるような農業を目指し、日本の農業を変えていきたいです。


こと京都(株)
こと京都(株)の概要(動画)
こと日本(株)
※こと京都(株)、こと日本(株)への問い合わせはメールでお願いします。

ねぎ栽培における農薬の上手な使い方

◎ネギの病害虫防除におすすめのシンジェンタ製品
育苗期後半または定植時の処理で、育苗期はもちろん、定植後約3週間効果が持続!
アザミウマ類などの主要害虫をもれなくカバー。
殺虫剤「ミネクトデュオ粒剤」

シロイチモジヨトウなど問題害虫の卵から老齢幼虫まで幅広い成育ステージに高い効果を発揮
殺虫剤「アファームエクセラ顆粒水和剤

2種類の有効成分が、べと病、さび病、白絹病に優れた効果を発揮
殺菌剤「ユニフォーム粒剤」

さび病をはじめ、ネギの主要病害を同時防除。
殺菌剤「アミスター20フロアブル」