「輸出最大のチャンスにぜひ参加を!」
農林水産省が熱く語る「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」

2018/5/2(水)

※一部写真はクリックすると大きい写真をご覧いただけます。

平成29年9月8日、農林水産省は、米と米加工品の輸出額「600億円」を目標に「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」を公表しました。
なぜ、いま、米の輸出なのでしょうか。
農林水産省政策統括官付農産企画課米穀貿易企画室小川英伸課長補佐、政策統括官付穀物課稲生産班 美保雄一郎課長補佐、生産局技術普及課生産資材対策室鈴木賢課長補佐の3人にお話をうかがいました。


オールジャパンで米の輸出拡大に取り組む

  • インタビュー中の様子

    インタビュー中の様子

──いま、なぜ、米の輸出なのでしょうか。

今が「輸出の大きなチャンス」だからです。
米の輸出は、年々増加をしており、平成25年の3121トンから平成29年には1万1841トンに達しました。
この背景には、ジャパンブームや健康志向の高まりから海外で日本食レストランが増え、日本産の食材が求められていることがあります。
平成18年には約2.4万店だった日本食レストランが平成25年には約5.5万店、平成29年には約11.8万店に増えてもいます。
こうした状況があることから、日本産米の輸出に力を入れるなら「今がチャンス」ととらえているのです。
一方日本国内では、米の消費量が毎年約8万トン程度ずつ減少している現状もあります。
これまでは、その対策として飼料米に切り替えることなどを推奨してきました。
それに加えて、輸出という選択肢もあることを産地の皆さんに提示していきたいと考えています。

  • 表1)米輸出の推移
  • 表2)海外における日本食レストランの数

――平成29年9月8日に「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」を公表されました。これはどのような戦略なのでしょうか。

米の輸出量を拡大するために、輸出する事業者を「戦略的輸出事業者」、輸出米を生産する産地(法人・団体)を「戦略的輸出基地」として支援するためのプロジェクトです。
また、海外の実際のニーズに応じて、輸出に取り組む産地と事業者をマッチングし、連携を取りながら、輸出用米の安定的な生産ができるように後押ししていきます。
さらに事業者が輸出国でプロモーションなどを行う際のバッグアップなども行っています。
産地と事業者、そして現地での販売も含め、オールジャパンで米の輸出を推進していくことがこのプロジェクトの大きなねらいです。
これによって、米の輸出量を平成31年に10万トンにすることを目標に掲げています。

――10万トンというと、現在の約10倍の増加になります。可能なのでしょうか。

10万トンの目標には米菓・日本酒等のコメの加工品も含めていますので、これらの粒換算の輸出量を含めると現状で約2.4万トンです。
また、現在、(株)神明、木徳神糧(株)、JA全農など51の事業者が「戦略的輸出事業者」に参加し、それぞれが輸出目標を掲げており、その目標を合計すると約13万トンに達します。
しかし、これはあくまでもチャレンジングで意欲的な目標です。
目標は高くないと目標とは言えません。
目標は高く、それを目指して、実際に輸出の拡大に向けてチャレンジし、具体的に様々な取組を進めていくことが重要だと考えています。
世界の米の消費量は約5億トンで、日本での消費量は753万トンにすぎません。
海外での米の需要は、日本の50倍以上あるのです。
中国だけでも年間約1億5000万トンを消費しています。
海外の巨大なマーケットを視野に入れると、10万トンという数字は決して不可能ではないと考えています。
近い将来、10万トンレベルの輸出が当たり前の時代が来ると信じています。

  • 表3)コメ海外市場拡大戦略プロジェクト構想

日本産米の強みは、品質の高さと食味のよさ

――米をはじめとする日本の農産物の輸出は、アジアを中心に所得の高い富裕層をターゲットにしていた印象があります。 現在よりも輸出量を増加させることで、ターゲットも変わってきますか?

飛躍的に輸出を拡大していくためには、輸出のターゲットはより幅広い層を考えています。
これまでの日本産米は、香港やシンガポールなどの高所得層に向けていました。
この層をハイエンド(最上級)とすると、今後は中間層が利用する飲食店などに向けた業務用や、パックご飯、米菓、日本酒などの米加工品など商品や売り方を多様化していきたいと思っています。
今までのように、トップ品質のブランド米の輸出だけでは、輸出量が飛躍的に伸びるわけではありません。
量を拡大していくためには、やはり業務用等の大口需要を掴むことが重要です。
そのためには、海外の飲食店・外食店が求める比較的安価な米について、低コスト生産等により安定的に供給していくことが重要になります。

――輸出品としての日本産の米の強みはどんな点にあると考えておられますか?

食味も、香りもよく、食感がやわらかく、冷めてもおいしいというのが日本産米の強みです。
品種も多様で、どれを食べてもおいしい。
海外で米を食べると実感するのですが、日本産米とは比べものにならないくらい硬く、食味の悪い米がたくさんあります。
日本産米では考えられないほどだという声もあるほどです。
そういった食味のよさが評価され、海外の人たちにとっても日本産米は「おいしく品質がよい」というブランドイメージができあがっています。
それを多くの人たちに食べてもらう機会を増やしていくことで、輸出量を拡大させていくことができると思います。

――海外ではどのような形で日本米が受け入れられているのでしょうか。

寿司は各国で人気ですし、日本の定食やおにぎりにも注目が集まっています。
たとえば、おにぎりの専門店「おむすび権米衛」がアメリカやフランスで展開する「OMUSUBI GONBEI」は、日本のファーストフードとしておにぎりを販売し、成功を収めています。
産地から直接仕入れた玄米をチルド輸送し、現地の店舗で、日本と同じ方法で精米・炊飯して販売しているため、日本と同じおにぎりを手軽に食べることができるのです。
香港でも100%日本産米を使ったおにぎりを販売する「華御結(はなむすび)」が人気を集め、香港各地に20店舗以上を出店しています。
こうした店が成功したことで、おにぎりが市民権を得て、人気が高まっている一方で、硬く、味もよくない現地産米を使ったものがそれほどの価格差がなく、販売されていることも少なくありません。
せっかく注目を集めているのだから、おいしい日本産米を使い、正しい日本食文化の普及をしていきたい。
今回の「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」には、そういった意味もあるのです。


輸出最大のチャンスを逃さないで!

  • (右から)政策統括官付穀物課稲生産班 美保雄一郎課長補佐、農林水産省政策統括官付農産企画課米穀貿易企画室 小川英伸課長補佐、生産局技術普及課生産資材対策室 鈴木賢課長補佐

    (右から)
    政策統括官付穀物課稲生産班
    美保雄一郎課長補佐
    農林水産省政策統括官付農産企画課米穀貿易企画室
    小川英伸課長補佐
    生産局技術普及課生産資材対策室
    鈴木賢課長補佐

――輸出拡大に関して、個々の生産者や事業者は、どのような支援が受けられますでしょうか。

農林水産省の補助事業である「産地パワーアップ事業」は、収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、計画の実現に必要な農業機械のリース導入や、農業施設の整備を支援する事業ですが、平成29年度の補正予算では、輸出拡大に取り組む産地を支援しやすい仕組みに見直しました。
また、輸出用米を生産するために米の生産コストの低減に取り組みたい産地向けには、直播栽培等の省力栽培技術や多収品種等の導入実証を支援する「戦略作物生産拡大支援事業」も用意しております。
こういった事業を積極的に活用して、ぜひ、輸出拡大に協力していただければと思います。

――最後にこれから輸出に取り組もうとしている生産者にメッセージをお願いいたします。

最初にお話をしたように、今は輸出の最大のチャンスです。
このチャンスを逃さすことなく、たくさんの生産者の方に輸出プロジェクトへの参加をお願いします。
実際、海外では、日本産米の需要があるにも関わらず、米が供給できないという事態も起きています。
これから日本食の需要を拡大していこうというときに、日本産米が不足していると、他国の米にその機会を奪われてしまいかねません。
最初に実績を作っておかないと後からでは参入するのがとても難しくなるのです。
農林水産省のウェブサイトに詳細があり、相談等も受け付けています。
どんな小さなことでもいいので相談いただけたらと思っています。
オールジャパンで日本産米の輸出拡大に取り組み、一緒に日本産米のおいしさを世界に広めていきましょう。



★米の輸出に関する詳しい情報は農林水産省のサイト「米の輸出について」をご参照ください。 http://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/kome_yusyutu/kome_yusyutu.html

★コメ海外市場拡大戦略プロジェクトへの参加や相談は下記で受け付けています。
【連絡先】
担当:農産企画課 米穀輸出企画班
Email:kome_yusyutu@maff.go.jp

2018年5月2日掲載