個人事業主の方は一年の締め括りとして、在庫の棚卸を実施しましょう。

原田公認会計士・事務所 原田佑嗣様

2017/12/25(月)

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    原田公認会計士・事務所
    原田佑嗣様

もうすぐ年末ですね。
確定申告の時期も近づいてまいりました。
事業年度末を迎えるにあたり、個人事業主の方は一年の締め括りとして、在庫の棚卸を実施しましょう。
棚卸とは、農産物など、農業用の資産の在庫を実際に数えることをいいます。


棚卸の重要性

事業経営を行う上で、棚卸はとても重要です。
農業所得の金額はその年中の総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
さらに必要経費のうち売上原価は、その年初の在庫高にその年中の収穫(仕入)高を加え、年末の在庫高を差し引いて計算します。
したがって、年末における在庫高が確定しないと、売上原価が確定せず、その年の農業所得、ひいては所得税の金額を計算することができないのです。
 実際に、農業経営者が税務調査において指摘を受けやすい項目がこの棚卸です。
棚卸が行われていない場合や、実際の棚卸よりも在庫高の計上が少ない場合、実際よりも多額の売上原価が計上されることになるため、課税所得(利益)が実態よりも低くくなり、本来納めるべき税額が過少に計算されることになるためです。

このように在庫高を確定させるため、年末に棚卸を行うことが重要です。

また、棚卸は単に在庫を数えるだけではありません。在庫の品質のチェック、滞留資産の有無なども同時に確認することができます。在庫の状況を把握することは、財務体質の健全化にもつながるでしょう。
このような意味においても、棚卸は重要です。

  • 棚卸しないと売上原価が確定しないイメージ

    棚卸しないと売上原価が確定しないイメージ

棚卸の対象となる資産

棚卸の対象となる農業用の資産は、以下の通りです。

<農産物>
(1)米、麦、果実などの農産物
   金額については、収穫した時の生産者販売価額により計算します。
   米麦等の穀物類以外の農産物で、数量がわずかなものについては、棚卸を省略しても差し支えありません。

<農産物以外>
(2)種苗、飼料、肥料、農薬、未使用の俵、苗代用ビニール、杭等の諸材料等の農業用品
   金額については、購入に要した費用とします。
(3)販売目的で飼育している豚、牛馬、綿羊等の家畜及び家禽類
   金額については、取得価額に年末までの育成費用を加算して計算します。
(4)まだ収穫しない水陸稲、麦、野菜等の立毛及び果実などの未収穫農産物
   金額については、 収穫していない農産物について要した費用とします。
毎年同程度の規模で作付けをする未収穫農産物については、棚卸を省略しても差し支えありません。


棚卸を行う日

棚卸は、原則として、その年の12月31日に行いますが、多忙により12月31日に実施できない場合には、前後の日付で実地棚卸を行い、12月31日における帳簿上の棚卸高を推定するという方法によることもできます。


最後に

財務管理のこととなると、とかく節税面ばかりに目が行きがちです。
しかし、目先の節税ばかりに捉われていては長い目で見た事業の成長には必ずしもつながらないでしょう。適切な在庫管理を行い、健全な事業経営を目指しましょう。



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2017年12月25日掲載