JAなどの監理団体と、実習実施者(農家、農業法人)の責任と義務がより明確になる「外国人技能実習制度」。

2017/08/31(木)

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  • 一般社団法人 全国農業会議所 農政・担い手対策部相談員 八山政治さん

    一般社団法人 全国農業会議所
    農政・担い手対策部相談員
    八山政治さん

2017年11月1日から「外国人技能実習制度」が改正されます。
日本に滞在する技能実習生は現在、約23万人。そのうち農業分野では約2.6万人を受け入れていると見込まれおり、大きな力となっています。
新制度のねらいはどこにあるのでしょうか。具体的にどんな点が変更されるのでしょうか。
一般社団法人 全国農業会議所 農政・担い手対策部相談員の八山政治さんに伺いました。


外国人技能実習の適正な実施と、技能実習生の保護が強化されます。

──外国人技能実習制度はどのような点が改正されるのでしょうか。ポイントを教えてください。

新しい制度では、外国人技能実習の適正な実施と技能実習生の保護が強化され、これを柱とする、「外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日より施行されます。
これまでと最も大きな違いは国を始め、技能実習生を受け入れる監理団体(非営利の協同組合や公益法人、農業の場合はJAなどがそれにあたります)と、実習実施者である農家や農業法人にそれぞれ責務規定が設けられ、責任と義務が法律によって明確に規定された点です。
具体的には、監理団体は実習生を受け入れるにあたり、事前に許可を取得することになりました。
また許可後でも、仮に違反があった場合は、改善命令や許可の取り消しの対象となります。
また農家や農業法人は届出制となりました。

実習実施者は技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、これに従って事業を行わなければなりません。
技能実習計画の作成は以前から義務とされていましたが、これが適切かどうか認定制としたところが大きな変更点になります。
そしてこれらの審査等をする指導機関として認可法人の外国人技能実習機構が創設されました。

──外国人技能実習機構とはどのような機関なのでしょうか。

一言でいえば「外国人技能実習制度の司令塔」です。実習計画の認定、実習実施者の届出の受理、監理団体の許可など、技能実習生に関する許諾はここに集約されることになりました。
さらに外国人技能実習機構には監理団体や実習実施者に、実習が適切に行われているかの報告を求め、実地検査をする権限が認められ、職員がその調査を行います。

ほかにも、技能実習生からの相談への対応や援助、技能実習に関する調査研究業務も担うことになりました。

──技能実習生の保護の面ではどのような点が変更されたのでしょうか。

技能実習生に対する人権侵害行為を禁止する禁止規定と罰則規定が定められました。
法令違反があると、監理団体や実習実施者に刑事罰や事業停止処分などが出されます。
これまでも行政処分としてのペナルティーが設けられていましたが、制度の改正によって法令違反は刑事罰の対象となり、技能実習法に裏付けされた権限で、外国人技能実習機構によって処分が出されます。


優良な実習実施者(農家、農業法人)なら、5年の実習期間の延長が可能。

――これまでは最長3年だった実習期間が5年に延長されるとのこと。この仕組みを教えてください。

技能実習生が日本に入国した際の1年目の在留資格は「技能実習1号イ.ロ.」です。
1年間の実習が修了した後、技能実習評価試験の初級に合格できると、「技能実習2号イ.ロ.」に変更され、合計で3年間滞在できます。
今回の改正では、3年目の専門級実技試験を合格した後に取得した人は、1ヶ月以上の一時帰国を経て、「技能実習3号イ.ロ.」の在留資格で、さらに2年間滞在でき、合計5年間の技能実習をすることが可能となります。
ただし、受け入れる実習実施者も監理団体も、優良認定を受けていることが必要です。(表1)

  • (表1)技能実習制度(農業)の仕組み
    (表1)技能実習制度(農業)の仕組み

また、技能実習制度は、日本の先進技術を学ぶのが目的であることから、同一の実習実施者、同一の職種作業が大原則です。
それが今回、滞在期間が5年になったことで4年目になる際に必要な要件をクリアすれば、違う実習実施者に変わってもよいことになります。

――5年に延長が可能なのは優良な監理団体、実習実施者に限るとされていますが、この場合の優良とは何を指すのでしょうか。

適切な指導と相談体制、技能評価試験の合格者数や合格比率、法令違反などが発生していないことや、高度な受入体制などが条件です。
これだけではなく、日本語習得支援や地域社会との共生支援なども重視されます。
この審査も技能実習機構の役割となり、5年間受け入れが可能な監理団体は「一般監理団体」、3年間以内は「特定監理団体」と区分されます。
一方で違反があった場合は、改善命令や取り消しの対象となり、名前も公表されます。

――実習実施者が技能実習計画を作成する際の農業分野での注意ポイントを教えてください。

職種は表3にあるように、耕種農業と畜産農業に大きく区分され、さらに6つの作業に区分されます。実際の業務は、表2のように全体計画に含まれる時間の割合によって必須業務、関連業務、周辺業務に分かれ、それぞれの条件に適合することが必要です。
作成にあたっては、監理団体と相談し、その指導に基づくこととされています。まずは、監理団体に問い合わせてみてください。

(表2)【各作業時間の全実習時間に対する割合】
  全体計画に含まれる割合
必須業務 実習時間全体の2分の1以上
関連業務 実習時間全体の2分の1以下
周辺業務 実習時間全体の3分の1以下
(表3)農業分野における業務の範囲の一覧
職種名 作業名 作業の範囲



「施設園芸」 【必須業務】施設園芸作業、安全衛生作業
【関連業務】畑作・野菜作業、稲作作業、採種用作物栽培作業 等
【周辺業務】作物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等
「畑作・園芸」 【必須業務】畑作・野菜作業、安全衛生作業
【関連業務】施設園芸作業、果樹作作業、稲作作業、採種用作物栽培作業 等
【周辺業務】作物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等
「果樹」 【必須業務】果樹作業、安全衛生作業
【関連業務】施設園芸作業、畑作、野菜作業、稲作作業、果樹作業の関連作業
【周辺業務】作物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等



「養豚」 【必須業務】養豚作業、安全衛生作業
【関連業務】飼料給与作業、堆肥生産作業、飼料生産作業、畜舎清掃作業 等
【周辺業務】生産物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等
「養鶏」 【必須業務】養鶏作業、安全衛生作業
【関連業務】肉用鶏生産作業、飼料給与作業、堆肥生産作業、飼料生産作業 等
【周辺業務】生産物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等
「酪農」 【必須業務】酪農作業、安全衛生作業
【関連業務】肉用牛生産作業、飼料給与作業、堆肥生産作業、飼料生産作業 等
【周辺業務】生産物の構内運搬作業、梱包・出荷作業 等

実習生と信頼関係を築き、帰国後、新たに事業を始めた農家の事例も。

――なぜ、いま、外国人技能実習制度が改正されるのでしょうか。

理由のひとつに、現行制度で不正行為や違反が相次いでいることがあげられます。
計画に基づいていない実習や、安全衛生面での違反、労働時間違反、賃金の不払いなどで、労働基準監査機関から監督指導された違反事業所は平成28年には4004件を数えました。
そういった不正行為や違反をなくすために、制度を抜本的に見直し、新しい法律が作られ、外国人技能実習の適正な実施と技能実習生の保護が強化されたのです。

――外国人技能実習制度は、「途上国の人材の育成」を通した国際貢献であるというのが、理念であるかと思います。その理念を実現させるために、農家や農業法人が心がけておくべきことにはどのようなことがありますか?

外国人技能実習制度は1993年に外国人研修制度としてスタートし、農業分野には2000年より導入されました。
当時は「特定活動」という在留資格で滞在していましたが、2010年から在留資格「技能実習」が創設され、外国人技能実習制度が施行。
現在に至っています。
このように、時代に応じて制度は変遷していますが、ルールを守り、誠実に取り組まなくてはならないことに変わりはありません。
それが国際協力や国際貢献につながるのです。
違反が後を絶たないのも確かですが、大半の実習実施者は、真摯に取り組み、成果をあげています。

実習後に、帰国した実習生たちと新たなビジネスを計画するような事例も出てきました。
制度が変わっても実習生と信頼関係を築き、法令を遵守することが求められます。
具体的には、適切な時間管理と労務管理を行い、安全に実習に取り組み、実習生と実習実施者である農家や農業法人、双方にとって有意義な実習になることを目指してほしいと思います。

(八山さんプロフィール)
八山政治(はちやま まさはる)さん
福岡県出身。大学卒業後、JA全農に37年6ヶ月勤務。このうちの2年間は(公財)国際研修協力機構に出向し、農水省分野の外国人研修生受け入れ事業などに携わる。
2010年から現職。法的保護情報が専門。法務省、自民党からのヒアリングで農業技能実習についても意見陳述をしている。

一般社団法人 全国農業会議所
外国人技能実習機構


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2017年8月31日掲載