儲かる農業、農業経営成功への道
女性の視点で「輝く農業」を考える

2015/03/31(火)

  • シンポジウム参加者の熱気に満ちた東京大学工学部2号館の大講堂

    シンポジウム参加者の熱気に満ちた
    東京大学工学部2号館の大講堂

第1回女性未来農業創造シンポジウムは、第1テーマ「輝く農業」、第2テーマ「食といのち」、スペシャルテーマ「女性が創る未来農業」といった3部構成で開催されました。
今回は、農業経営を中心とした第1テーマ「輝く農業」についてご紹介します。

※一部の写真をクリックすると大きい写真をご覧いただけます。


開会にあたって、安倍首相夫人でもある女性未来農業創造研究会(以下、同研究会)の安倍昭恵名誉顧問、中川郁子農林水産政務官、同研究会の藤井滋生代表理事のご挨拶をいただき、シンポジウムがスタート。
まず、「儲かる農業」について、レタスやとうもろこしなど25haを経営する静岡県の生産法人やさいの樹 取締役の塚本佳子さんの講演がありました。

  • ご自身も山口県下関市で酒米づくりを手がける安倍昭恵名誉顧問

    ご自身も山口県下関市で
    酒米づくりを手がける
    安倍昭恵名誉顧問

  • 中川郁子農林水産政務官のご挨拶

    中川郁子農林水産政務官のご挨拶

  • 女性未来農業創造研究会の藤井滋生代表理事

    女性未来農業創造研究会の
    藤井滋生代表理事

  • 「儲かる農業」について講演する静岡の塚本佳子さん

    「儲かる農業」について
    講演する静岡の塚本佳子さん

塚本さんは、販売を外部組織に委託して、ひたすら高品質な野菜をつくることに専念していらっしゃいます。
経営面では、「レタスは契約栽培なので、平均反収の高い月は作付面積を減らし、平均反収が低い月は面積を増やす。その年間作付計画を確実に実行することが大事」なのだとか。
また、肥料や農薬などの資材費を削るのではなく、いかに収量を上げて製品原価を下げるか、それが収益性を高めるとのことでした。

※塚本さんの農業への取り組みについては、シンジェンタ・ホットニュースのバックナンバーvol.106で詳しくご紹介しています。
http://www.syngenta.co.jp/mail_news/backnumber/hotnews_106.html

塚本さんの講演に引き続いて行なわれたパネルディスカッションは、女性の観点からそれぞれの農業経営について語り合う場となりました。
メンバーは、前述の塚本佳子さん、商社出身で静岡県のいちご農家 栗本めぐみさん、福岡県の農産物直売店 ぶどう畑代表 新開玉子さん、福岡県の農家レストラン ビストロくるるん代表 松藤富士子さん。
そこには、女性ならではのご苦労や工夫、信念が垣間見えます。


お集まりいただいた皆さんは農業経営で成功していらっしゃる方ばかりですが、その秘訣はなんですか。

新開さん「私たちの直売所は、周辺に大きなスーパーが8店もある福岡市にあり、『都会の人の心を耕す』が理念です。だから、あの人に会いたいと思ってもらえるスタッフの人柄が大事。それと、農業は泥臭いイメージばかり先行していますが、収穫するときのぶどうに光る朝露だったり、実りの秋の風景だったり、それはもう俳句や短歌の世界なんです。店頭に並んだ農作物の背景にある物語、農業の素晴らしさを消費者に伝えていくのが大切なんですね」

栗本さん「私は大学卒業後に静岡県の新規就農者支援制度を利用していちご農家を始めたんですが、自分には技術も知識もなかったので、農業を始める前に営業力を身につけようと思って、食品商社の営業職に就きました。そこで知り合ったスーパーさんが現在の取引先にもなっています。これからの農業者は営業力や企画力が必要なんじゃないでしょうか。それから、私は小さくても強い農業経営をめざしています。売上よりも『所得』の意識を強く持ち、自分の時給がいくらなのか、年収はいくらなのかということを常に計算し、モチベーションや作業改善の指標にしています」

  • 農業経営についてのパネルディスカッション

    農業経営についての
    パネルディスカッション

  • やさいの樹 取締役 塚本佳子さん(左)と、いちご農家 栗本めぐみさん(右)

    やさいの樹 取締役
    塚本佳子さん(左)と、
    いちご農家
    栗本めぐみさん(右)


皆さんは農業経営で成功していらっしゃいますが、組織づくりのポイントという観点では、いかがでしょうか。

松藤さん「私はブナシメジの生産法人と農家レストランを経営していますが、業績が悪いときはどの部門の何が悪かったのかを、逆に業績のいいときは何が良かったのかを分析しています。そうすると具体的な今後の指標が見えてくるんですね。それと、従業員のモチベーションを維持するのも大切。『あなたの笑顔素敵ってお客さんが言ってたわよ』とか『いつもトイレの隅まできれいにしてくれてるね、ありがとう』とか、ほめてあげる、声をかけてあげることがみんなのモチベーションアップにつながっていると思うんです」


地域とともにある農業。皆さんの展開する農業と地域の関係性はいかがでしょうか。

  • ぶどう畑代表 新開玉子さん(左)、ビストロくるるん代表 松藤富士子さん(右)

    ぶどう畑代表
    新開玉子さん(左)、
    ビストロくるるん代表
    松藤富士子さん(右)

松藤さん「私どもの生産法人とお店がある大木町というところは、本当になんにもない町なんですが、福岡で5本の指に入る財政力があります。それは町ぐるみで町産の商品やサービスをバックアップしているから。商品の背景にある、吹き渡る風や緑の大地、大木町の人々の暮らし、そんな素敵な町で育ったシメジをどうぞ食べてみてくださいとPRするんです。今後は、消費者がその産地に来てくれるような農業が問われるんじゃないでしょうか」

新開さん「うちの直売所では、例えば赤ちゃん連れのお母さんがいたら、買い物をする間抱いていてあげるとか、おばあちゃんの買い物袋が重たそうだったら、クルマで送ってあげるとか、地域のお客さんと自然とふれあうムードができているんです」


女性農業者と主婦の二足のわらじ。ワークライフバランスについてお聞かせください。

新開さん「直売所の従業員27人のうち24人が女性なんです。とにかく農業が好きという女性が集まっていますが、当然主婦としての仕事も大事です。だから、うちの直売所は、日曜・祝日は休み、オープンは11時から。批判をされたこともありますが、それを貫いてきた。それが女性の店としての成功要因のひとつかもしれませんね」

栗本さん「うちは夫婦別経営でいちごを手がけているんですが、夜7時には必ず家に帰って夫婦でご飯を食べるのが決まりです。そのためには、次から次へと追われるような作業ではなく、いちごを追い続ける作業を実践しています。コンセプトは『大粒、完熟、朝どり』。徹底した摘果で大粒に仕上げます。一粒50gの大粒いちごで収穫すれば、一粒10gの小粒と比べて収穫作業もパック詰め作業も5分の1の労力で済む。だから夜なべ作業は必要ないんです」

次回は、第2テーマ「食といのち」とスペシャルテーマ「女性が創る未来農業」についてご紹介します。お楽しみに。


★女性未来農業創造研究会のウェブサイトはこちら
★女性未来農業創造研究会のFaceboookはこちら


2015年03月31日掲載