病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
夏に自家受粉し種子をつけ、確実に次世代を残す
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セイタカアワダチソウ(Solidago altissima )

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写真(切花用に試験場でも栽培されています)

写真1:切花用に試験場でも栽培されています

 大都市近辺ではひところより数が減ったような印象もありますが、全国的にはまだまだ勢力を拡大しているようにも思われるのがセイタカアワダチソウ(Solidago altissima )です。

この草、もともとは明治末期に園芸目的で持ち込まれたとされていますが、その生育場所が広まったのは戦後のことで、米軍の輸入物資に種子がついたものから搬出したと考えられています。原産は北アメリカで、キク科アキノキリンソウ属の多年草で都会の空き地、道端、土手、河川敷などに多く、特に高速道路沿線、住宅地の空き地、工場用地、鉄道沿線などでは夏から秋にかけて一面を覆い尽くすような大群落を作ります。北海道では比較的少ないのですが、関東以西で多く、九州などでは12月でも盛んに花を咲かせています。繁殖は種子からの発芽と地下根茎からの栄養個体の形成によります。発達した群落内での一般的な生育パターンは、春から夏にかけて旺盛に栄養生長をおこない、瞬く間に草高2〜3メートルに生長し、他種の進入を許しません。その後10月から12月頃まで黄色い花を次々と咲かせ、多数の種子を生産します。花が枯れてしばらくすると地上茎は枯れ、それに代わって地下の根茎から新たな栄養個体が出芽し、ロゼットを形成して越冬するといった具合です。冬至も過ぎた頃、地上部が枯れたセイタカアワダチソウの地下部を引っこ抜いてみると根茎から翌年のための新たな個体が芽吹いているのが確認できます。

  • 写真(開花期を迎えた群落)

    写真2:開花期を迎えた群落

  • 写真(12月、地下部からは既に翌春のための新しい芽が出ています)

    写真3:12月、地下部からは既に
    翌春のための新しい芽が出ています

この地下部からの栄養繁殖の旺盛さこそがセイタカアワダチソウの繁栄を支えている一因ともいえますが、この植物のもつ面白い特徴にアレロパシー(注)があります。昭和40年代から急激にその分布を広げていたこの植物の根と地下茎から、ススキやブタクサなどの発芽を強く抑制する物質が分離され、他の種の生育を妨げていることが知られています。ただし、この物質が土にたまり過ぎるとセイタカアワダチソウ自体も自家中毒を起こすことも報告されており、何年かするとススキなどに取って代わられることもあるようです。

(注:アレロパシーとは「ある植物の根などから出される物質がその回りの植物の発芽や生育に影響を及ぼす現象」と定義されています。)

写真(刈取後、地下部から再生し花をつける栄養個体)

写真4:刈取後、地下部から再生し
花をつける栄養個体

 いずれにしても旺盛な地下部からの繁殖力、また多数の種子生産による遺伝的変異の維持、さらにアレロパシーによる作用と、その繁殖力の強さゆえあたかも他の植物を駆逐している海賊種のような悪い印象をもたれるこの植物は、雑草防除上も重要な害草として認識されています。特に住宅造成地などでは背が高いこの草が繁茂すると防犯上も問題となるのでしばしば刈取りの対象になりますが、刈っても刈ってもその後直ぐに地下部から新しい個体を再生させてくるために、何度も刈取が必要で労力がかかります。従って地上部がある程度生育した後であれば、移行タイプの茎葉処理剤をタイミングよく適量処理すれば地下部まで枯らせるのでほぼ根絶することもできます。ただし、薬量が足らなかったり、散布時期が適当でなかったりすると、かえって分げつを促し、逆効果になることもあるので除草剤の散布については指導機関等に相談されるのがいいでしょう。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 除草剤開発部
中谷 英夫

2005年1月18日掲載

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