病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
根からの再生能力に優れ、一度畑に進入すると根絶は一苦労
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ヒレハリソウ(Symphytum officinale )の仲間

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写真(路傍で生育する固体は他種に比べてひときわ大きく目をひきます)

写真1:路傍で生育する固体は
他種に比べてひときわ大きく目をひきます

ヒレハリソウはムラサキ科ヒレハリソウ属の多年草です。原産地はコーカサス地方でヨーロッパから西アジア一帯に分布しています。一般的にはコンフリー(Comfrey)と呼ばれ、北海道では畑地の周縁、路傍、林縁などいたるところに生育しているほか関東以北でも空き地、路傍、休耕地等でところどころ野生化しています。日本でコンフリーと呼ばれているもののなかには地中海沿岸からカフカズ、西シベリアでヒレハリソウと同類のオオハリソウ(Symphytum asperum)との自然雑種が1800年代後半にイギリスに渡って改良され、後に日本にも導入されたロシアンコンフリー(Symphytum x uplandicum あるいはS.peregrinum )および前出のオオハリソウ(プリックコンフリー)などが含まれているようです。何れも牧草、飼料として利用される他、野菜や薬草として利用や、また葉を使ってリキュールなども作られたそうです。また趣のある花は園芸的にも愛されています。ただし最近になってコンフリーから製造した健康食品などの過度の摂取による健康被害などが報告されていて、食品としての利用は制限されているので注意してください。

写真(ヒレハリソウの開花)

写真2:ヒレハリソウの開花

この草も珍しい帰化植物として庭園や植物園で鑑賞されているうちは良かったのですが、多くの外来導入植物がそうだったように各地で栽培されていたものが野生化して、やがては雑草化するといった道をたどっています。野生状態では春になると宿根部から新芽を出し、猛烈な勢いで地上部が生長します。時に草丈は1mを超え、大きな光沢のある深緑の葉をつけているのでよく目立ちます。茎葉には細かい毛がはえていて手で触るとざらざらしています。花は薄紫桃色、釣鐘状の特徴的な形で垂れ下がるようについています。栽培されているものには白花のものもあります。花は5〜8月ころに咲きますが、開花前に地上部を刈取られるとその後再生してきて秋になって花をつけることもあります。

特に発生が多い北海道では道端や畑の縁などで所々に自生し、中には畑の周縁から地下の根を伝わって畑の中に進入しているものもあります。根からの再生能力にすぐれており、繁殖は主に根からの栄養繁殖個体の形成によります。刈取りや耕起などによって地上部を除去しても、残った根からまた個体を再生させるため、一度畑に進入してしまうと根絶させるのは一苦労です。道内では近年、特に小麦畑や牧草地などでの発生が確認されていて防除に手を焼いています。

  • 写真(1つの個体から多数のクローンができ、たちまち優先してしまいます)

    写真3:1つの個体から多数のクローンができ、
    たちまち優先してしまいます

  • 写真(草地に進入した個体)

    写真4:草地に進入した個体

現在のところヒレハリソウの防除法としてはその繁殖源が根であることから吸収移行タイプ茎葉処理除草剤(グリホサート剤等)の散布が有効です。ただ、植物の生育ステージによってはせっかく散布してもまたすぐ再生してしまう場合もあり、処理時期、処理濃度を見極める必要があります。北海道内では地下部に養分が蓄えられる秋口にグリホサートを処理すると、薬剤が効率よく地下部に移行するため、処理当年の一定期間は地上部が若干枯れ残ることもありますが、その後自然に枯死し、翌春の再生は殆どなくなるといった具合です。ただし刈取りなどの直後で地上部があまり再生していない状態で薬剤を散布しても、付着量が減ってしまうため思ったような効果が出ないこともあるので注意が必要です。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 除草剤開発部
中谷 英夫

2004年12月8日掲載

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