病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
塊根のクズ粉を使った漢方薬は、誰もが知る風邪薬
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クズ(Pueraria lobata )について

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写真(クズの花)

写真1:クズの花

 クズは古来より日本人にとって馴染み深い、秋を代表する野草で、その慎ましやかで可憐な花は山上憶良が秋の七草の一つとして歌に詠んだほどです。マメ科クズ属の多年生で日本全国いたるところに生育し、林地、野原、里山、堤防、路傍、畦畔、鉄道敷地などに多く、生育は極めて旺盛でしばしば大群落を形成します。つる性の茎は、時には10mにも達し、基部は木化してフェンスや立木に絡み付き木に覆い被さってしまいます。花期は7〜10月頃で紅紫色のマメ科特有の花を多数つけます。下から順に咲き、開花後、莢の中に種子をつけます。中には変り種で白い花を咲かせるものもあります。

写真(北海道に多いオオイタドリ)

写真2:北海道に多いオオイタドリ
(Polygonum sachalinense )

 クズは温帯性の植物で、日本のほか、東アジア、東南アジア、また遠くは南太平洋のメラネシアの島でも一般的に見られるそうです。アメリカでもクズまたはカズの名で知られていて、1878年にフィラデルフィアで開かれた博覧会に園芸植物として紹介されたのがきっかけとなり、その後日陰用、土壌浸食防止用、家畜の飼料用と様々な用途で日本から種子を輸入して、盛んに栽培されました。しかしその後、この種の旺盛な繁殖力が災いしたのか各地で野生化し、今ではそこらじゅうに大繁殖をしているといった具合です。日本でも外来植物の進入が問題になって久しいですが、このクズやイタドリ(Polygonum cuspidatum :写真2はオオイタドリ)などは日本から持ち出され、外国に帰化して大いに栄えている代表的な植物です。

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写真(彼岸花:クズ同様地下部の澱粉を利用していた)

写真3:彼岸花:
クズ同様地下部の澱粉を
利用していた

 さてこのクズ、本家日本でもその有用性は言うまでも無く、塊根の澱粉(クズ粉)を様々な用途で食用にしますし、この粉を使った漢方薬の葛根湯は風邪薬として誰もがご存知だと思います。
 クズの根から澱粉をとってクズ粉を作るのは、面倒な工程が必要です。まず根を掘り起こしてそれを潰し、繊維状にしたものを大量の水に晒して澱粉を流しだし沈殿したものがクズ粉というわけです。こうした植物の根の澱粉を水で晒して利用する方法は縄文時代にすでに確立されていた技術で、熱帯ほどイモ類に恵まれない温帯の森では、クズの他に、マムシ草(天南星)の仲間、彼岸花(Lycoris radiata:写真3)なども同様に食用とされていました。

  • 写真(秋、路傍をおおいつくすクズ)

    写真4:秋、路傍をおおいつくすクズ

  • 写真(クズの葉は付け根から屈曲するため、茎葉処理剤が付着しにくい)

    写真5:クズの葉は付け根から屈曲するため、
    茎葉処理剤が付着しにくい

 私たちのはるか祖先によって食料として利用されていたクズは、今では雑草として有名になってしまったかもしれません。荒地等ではたちまち優占化するので、見た目も悪く、また造林地では育成木に絡み付いて被覆してしまい、その成長を妨げてしまいます。越年したクズ個体は春先に萌芽し、その後急速に葉面積を増やします。つる茎は花の咲く前(夏)と開花後(秋)の2回の生育旺盛期があり、特に秋はその同化産物の殆どが翌年の発生のために地下器官や多年生茎に蓄えられます。冬になると地上部の大部分は枯れますが、根元の木化した節をもった茎はそこから栄養茎を形成し、そこから発根、定着していくため、刈取りだけで防除するのはなかなか困難です。グリホサート系の除草剤による防除方法も有効です。ただし他の雑草のように茎葉に散布するだけではなかなか根絶させることは出来ません。そこで効率のいい防除法として株頭処理やつる切り処理といった独特の方法も開発されています。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 除草剤開発部
中谷 英夫

2004年11月18日掲載

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