病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
アサガオ、マルバルコウはサツマイモ属
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サツマイモ属(Ipomoea )について

写真(夏の代表的な植物 アサガオ)

写真1:夏の代表的な植物
アサガオ

写真(グンバイヒルガオ)

写真2:グンバイヒルガオ

 7月になると各地で朝顔市が開かれますが、なかでも東京・入谷鬼子母神の朝顔市は歴史も長く、全国的に有名です。入谷の朝顔市は明治時代に地元の植木屋が朝顔を栽培したのがきっかけで始まり、その後一度途絶えていましたが戦後復活し、今では下町に夏の到来を告げる風物になっています。このアサガオ(Ipomoea nil )、(写真1)はもともとは延喜年代(901〜923年)頃に薬用植物として中国から渡来し、今日のように鑑賞植物として栽培が盛んになったのは江戸時代、とりわけ文化・文政の頃からのようです。

 アサガオはヒマラヤ原産でヒルガオ科サツマイモ属の夏を代表する園芸植物ですが、国内にはアサガオ以外にも多くのサツマイモ属の野生種が生育しています。そのほとんどは帰化種であり、そのなかには雑草として厄介なものも含まれます。前回紹介したグンバイヒルガオIpomoea pes-caprae )(写真2)の他に主なものとして、ノアサガオ(Ipomoea indica )(写真3)、マルバルコウ(Ipomoea coccinea )(写真4)、マメアサガオ(Ipomoea lacunosa )(写真5)、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea )、ホシアサガオ(Ipomoea triloba )などが知られています。

  • 写真(夏の海岸に映えるノアサガオの花)

    写真3:夏の海岸に映える
    ノアサガオの花

  • 写真(鮮やかな花が目を引くマルバルコウ)

    写真4:鮮やかな花が目を引く
    マルバルコウ

  • 写真(マメアサガオの花)

    写真5:マメアサガオの花

ノアサガオは暖帯南部から亜熱帯気候の海岸地方に生育する多年生で、伊豆諸島、紀伊半島、四国、九州、沖縄、小笠原などに自生する在来種です。アサガオよりも少し小ぶりで淡青色の花を、亜熱帯では3月頃から、暖帯南部では6〜10月に咲かせます。この種が多く見られる南海の島々では、海岸線に咲き誇るノアサガオやグンバイヒルガオの青やピンクの色調は、色彩に意外と乏しい真夏の野原に彩りを添えてくれます。ただ、しばしば植栽木などに巻きつくので、場合によってはヒルガオ同様に雑草として扱われることもあります。(写真6)

写真(植栽に絡みつくノアサガオ)

写真6:植栽に絡みつくノアサガオ

 マルバルコウは熱帯アメリカ原産の一年生つる性植物で、茎は長さ3mにも達し、フェンスなどに絡みついて生育します。卵形の葉をもち、花期は夏〜秋、花は径2cm足らずの小さなものですが、鮮やかな朱赤色で、中心部は黄色く趣があります。日本への渡来は江戸時代末期とされていて、この種も、もともとは観賞用として導入されたようですが、現在は本州中部以南の路傍などで一般的にみられます。時には畑の際から進入して作物に絡みつき減収の原因にもなり、厄介な畑地雑草として扱われています。

マメアサガオは新大陸原産の一年生で、戦後帰化したとされています。茎はつる性で、葉は長卵形、夏から秋にかけて純白の清楚な花を咲かせますが淡紅色の花をつけるものもあります。近縁のホシアサガオはマメアサガオとよく似ていますが、花は淡紅色の他ピンク色のものもあります。また一般的にマメアサガオより花の数が多いのが特徴の一つです。

最後に、サツマイモ(Ipomoea batatas)についても少し触れておきましょう。サツマイモは全世界で栽培されている重要な栽培作物で、とりわけ中国での生産量が世界中の80%以上を占めており、その他アジアの国々やブラジル、アメリカなどで比較的まとまった量が生産されています。一般的には茎を挿すか、種芋で栽培することが多く、日本国内ではめったに花を見ることはないのですが、これは開花にはかなりの短日条件を要するためで、通常は花をつける前に枯れてしまうためです。亜熱帯や熱帯地方ではアサガオを小さくしたような花を多数咲かせます。

栽培植物としての起源地はかつてアジアやアフリカ説が提唱されていましたが、その後の研究で現在では新大陸起源説が有力とされています。その根拠となったのがメキシコで発見された野生種のIpomoea trifidaという近縁の種で、その形態、生態、自家不和合性、交雑不稔性等の特性からサツマイモの祖先種と考えられています。実際はこのtrifidaと他の近縁野生種が自然交雑し、その後その雑種の染色体倍化によって現在のサツマイモの基が完成したと考えられています。それらサツマイモの祖先種は今でも中央アメリカでは自生していて、畑などの雑草として生育しています。

日本へは新大陸からマレー群島、中国を経て沖縄の宮古島に最初に伝わったとされており、その後薩摩藩内で広く栽培されるようになり、江戸末期に青木昆陽によって関東へ導入されました。その後全国に広がり、現在の作付面積は最盛期に比べると急減していますが、なお重要な作物であることには疑いの余地はありません。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 除草剤開発部
中谷 英夫

2004年7月30日掲載

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