病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
ジャニンジン、コンロンソウもタネツケバナ属
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タネツケバナ属(Cardamine)の雑草

アブラナ科タネツケバナ属は世界中に約160種、日本国内には10数種が知られています。これらの中で比較的雑草性が強いものに、在来種のタネツケバナ(Cardamin flexuosa)(写真1)、ジャニンジン(Cardamin impatiens)、オオバタネツケバナ(Cardamin scutata)および近年帰化したとされているミチタネツケバナ(Cardamin hirsuta)等があります。 またタネツケバナには亜種のタチタネツケバナ(Cardamin scutata ssp. Fallax)(写真2)も報告されています。

 これらの種のなかで全国的に最も多く生育しているタネツケバナはイネ科のスズメノテッポウと並んで水田裏作の最も代表的な冬性一年生雑草で、早春のまだ水のない田んぼが一面タネツケバナ畑になっている風景をしばしば見かけます(写真3)。また畦畔、湿った畑地、路傍にも生育することもあり、田畑共通の強害雑草といえるでしょう。 種子で繁殖し、春先、水田の入水前には開花結実を終え、次年度のための種子を確保しているといった具合です。和名の由来は、ちょうど水稲の種籾を芽だしのために水につける頃に、この花が咲くためにつけられたといわれております。

  • 写真1:タネツケバナ

  • 写真2:タチタネツケバナ

  • 写真3:タネツケバナの群落

 近年の研究によると、タネツケバナと亜種のタチタネツケバナは外部形態のみならず、生態的な特徴についても分化をしていることが報告されています。その主な点はタネツケバナが秋に発芽し、翌年の春先に開花結実するのに対して、庭園、路傍、畑地などが主な生育場所のタチタネツケバナは、春先に開花結実する個体に加えて、初夏に発芽した個体が夏〜秋にも花を咲かせます。タネツケバナが生育に適さない湛水条件の水田を避けるような生育パターンを示しているのに対し、タチタネツケバナはより畑地条件に適応しているように思われます。

写真4:コンロンソウの開花

 ジャニンジンは山の木陰などに生育する冬性一年生で、白い小型の花を持ち、自殖性の種ですが、あまり耕作地などでは見られないようです。オオバタネツケバナは用水路や湿田などに生育し、和名の如く葉がタネツケバナより大きく、花もタネツケバナより僅かに大型です。生活型は多年生で、主な繁殖源は種子ですが、ラミート(親個体の根などから萌芽してできたそれぞれの分株体のことを言う。遺伝的には親と同じクローン個体である)による栄養繁殖もおこないます。同じく多年生のミズタガラシは用水路などに生育し、コンロンソウ(Cardamin leucantha)(写真4)の仲間は谷間や川原などに生育し、花も個体も明らかにタネツケバナやタチタネツケバナよりも大きいのでよく目立ち、群生しているととても綺麗です。またこれらの種は種子および、栄養繁殖によって個体群を維持しています。

写真5:開花後のミチタネツケバナ

帰化種のミチタネツケバナは(写真5)、1974年に鳥取で帰化が確認されて以来、急速に各地に拡大していると推測されています。形態的にはタネツケバナに類似していますが、特徴として雄しべが4本で(タネツケバナは6本)、花はタネツケバナより小型、葉の縁が丸びを帯びている点などがあり、またタネツケバナよりも乾燥し易い条件に適応しているとする報告もあります。

 このように身近な雑草の仲間においても、近縁種間で外部形態ばかりでなく繁殖様式などでもそれぞれの生育場所に適応した特徴を持ち合わせていることは、植物の多様性を知る上で大変興味深いことと思います。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 開発部
中谷 英夫

2004年5月28日掲載

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