病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
イヌガラシ、スカシタゴボウはイヌガラシ属
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イヌガラシ

 アブラナ科に属する栽培植物は数多くありますが、雑草の種類もまた多く、作物を栽培する上で問題となるものも少なくありません。その中でも最も厄介なもののひとつにイヌガラシ属の雑草があげられます。日本に生育するイヌガラシ属のおもな在来種にはイヌガラシ、スカシタゴボウ、ミチバタガラシ、コイヌガラシ等があり、帰化種ではキレハイヌガラシおよびミミイヌガラシの2種があります。この中でもイヌガラシ、スカシタゴボウ、キレハイヌガラシは特に雑草性が強く、その生育地は種により若干異なり畑地、樹園地、水田畦畔、耕起前の水田、路傍などに及びます。今回はイヌガラシおよびスカシタゴボウを中心に述べ、帰化種については次回に譲ることにします。

 イヌガラシはこの属のなかで最も一般的に見ることができる種で樹園地、水田畦畔や畑周り、また路傍、庭先や空き地などいたるところに生育する多年生草本です。主に秋に種子から発芽して根出葉(ロゼット)で冬を越し、春から夏に開花しその後種子をつけます。しかし、果樹園や畑地などを観察すると秋以外に種子から発芽し夏から秋にかけて開花して種子をつけることもあり、ほぼ一年を通じて見ることができます。関東以西の果樹園などでは夏期に除草剤を散布して一度裸地化した後でも、イネ科のメヒシバやエノコログサと共にいち早くイヌガラシの種子が発芽し、秋口には一面黄色い花に覆われていることもあります。また、茎葉処理除草剤の散布後や機械除草によって地上部が枯れたり刈取られた跡、枯れ残った地上部の一部や根から個体を再生させ再び花を咲かせたりと、なかなか厄介な存在です。蛇足ですがこの種の和名の由来はカラシに似ているが食べられないまがい物ということのようですが、展開したばかりの若い葉などは天婦羅などにすれば充分食することができ、食用可能な植物としての記載もあります。

 スカシタゴボウは、イヌガラシとともに春の強害雑草のひとつで畑地、樹園地、耕起前の水田や畦畔などに一般的に見られます。本種は一年生草本で生育時期は11月頃から翌9月頃までで、この種もある程度温暖な気候であれば個体群としてほぼ一年中見ることができます。形態はイヌガラシによく似ていますが、見分け方のポイントはイヌガラシに比べて、花が小型で、果実の長さが短く、葉の切れ込みが深いなどの点があげられます。また生育場所を詳しく見ると耕起前の水田や畑の畝間などに多く見られ、路傍などではイヌガラシより少ないように思われます。これは水田や畑地がより耕起・中耕・除草などによる土壌撹乱の機会が多いことと関連すると考えられます。繁殖源のほとんどが種子ですが、草刈などで地上部を刈られても地際の茎から個体を再生することもあります。和名の由来は春先耕起前の田んぼに生えて根が牛蒡に似ていることに由来し、"透かし"の意味は不明とされています。イヌガラシ同様若い葉は食用になりますが、この"牛蒡"についての記載はありません。 

 またスカシタゴボウとイヌガラシの自然雑種としてヒメイヌガラシという種があり、水田畦畔等のイヌガラシとスカシタゴボウが同所的に生育しているところでしばしば見つけることができます。形態はどちらかというとイヌガラシに似ていて、生活型も多年生です。雑種強勢のせいかイヌガラシよりも大きくて力強い感じがしますが、ほとんど種子はつけず栄養的にのみ繁殖が可能です。

 一見同じように見える雑草でも、詳しく観察してみるとなかなか興味深いものです。ちょっと一服して田んぼや畑の草を眺めてはいかがでしょうか。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部開発部
中谷 英夫

2002年11月28日掲載

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