病害虫・雑草防除ガイド - 害虫と病気の話
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オオタバコガの生態と防除法

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オオタバコガの成虫
(左の赤みがかった方が雌)

オオタバコガはもともと日本にいた虫ですが、以前は害虫として問題になることはほとんどありませんでした。ところが、1994年に西日本を中心に多くの作物で大発生し、それ以降重要害虫の座に居座り続けています。本種は東南アジアではワタの害虫として有名で、飛翔能力も高いことから、海外から大量に飛来した可能性も考えられます。有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤など既存の殺虫剤の効果は低く、大発生した当初は防除薬剤も無く、大きな被害を出しました。最近は登録薬剤も増え、各種防除法も検討されて発生は落ち着いてきましたが、重要害虫であることに変わりありません。

被害作物と生態的特徴

オオタバコガは多くの植物を餌にできる広食性の害虫です。野菜ではトマト、ナス、キュウリ、ピーマン、レタス、イチゴ、ウリ類など、花きではキク、バラ、カーネーション、トルコギキョウなどで被害が出ています。ヨトウガ類と違って卵は1個ずつ産み、一晩に1頭の雌が200〜300卵も産みます。従って、雌1頭がハウスに入っただけでも大きな被害になることもあります。幼虫は植物体内に潜る性質が強く、花蕾や果実内に食入し、中を空にすると次々と移動して加害するので、幼虫数が少ない割に被害が大きくなりがちです。25℃では卵期間は3日、幼虫期間約2週間、蛹期間も約2週間で、約1ヶ月で成熟します。越冬は休眠した蛹で行い、春の発生密度は低く、夏から秋にかけて発生密度が高くなります。年間世代数は4〜5世代と考えられます。

  • カーネーションを加害している
    オオタバコガの幼虫

  • オオタバコガの卵

  • キクを加害している
    オオタバコガの幼虫

防除対策

IGR剤、BT剤、その他の新規薬剤などで登録が進み、各作物で薬剤による防除が可能になってきました。しかしながら、本種の幼虫は植物体内に潜入するため薬剤のかかりが悪いことや抵抗性発達の心配もあるので、できるだけ薬剤以外の防除法も取り入れていきたいものです。施設内であれば防虫ネットをきちっと張ることで、かなりの防除効果が上がります。露地の作物ではフェロモン剤も利用できます。ほ場をフェロモンで満たし、新成虫の交尾を阻止することで、次世代の幼虫を発生させない方法です。また、光の影響を受けない作物では、黄色灯の利用も進められています。明るくするとガの活動性が低下し、交尾や産卵を抑制したり、他所からの飛来を忌避する効果などが考えられます。

オオタバコガとタバコガの違い

タバコガはタバコやピーマンを食害する古くからの害虫でしたので、オオタバコガは新参者の近縁種ということになります。上羽の横線模様がはっきりしているのがタバコガで、はっきりしないのがオオタバコガです。一ヶ所に両種のフェロモントラップを置くと絶対に間違うことなく、それぞれのトラップに誘引されます。しかしトラップにオオタバコガとタバコガの両方が沢山誘引されたにも関わらず、圃場の幼虫を採集し羽化させたところ、オオタバコガばかりであったという報告がいくつかの県からありました。このなぞは解けていません。

 

元野菜茶業研究所
現東海物産 技術顧問
浜村 徹三

2005年9月9日掲載

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