病害虫・雑草防除ガイド - 害虫と病気の話
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果樹のカメムシ-チャバネアオカメムシ-

カメムシ類はその形が亀の甲羅に似ていることからその名前がついていますが、臭い異臭を放出することから「ヘッピリムシ」や「ヘコキムシ」の俗称でも呼ばれています。あのにおいを嗅いだ人なら誰もが不快に感じるので、このような名前がつけられているのでしょう。しかし、私の知人にはあの臭いが「たまらなく心地よく感じる」といっている人もいますので、臭いの感じ方は誰もが同じように感じるのではないようです。
農作物の害虫ですが、これから越冬に入る時期になると、干していた洗濯物に飛んできたカメムシが付き、これが一緒に家屋内に取り込まれて臭い異臭に遭遇することが多くなり不快害虫としても認識されている害虫です。
果樹には多くのカメムシが加害しますが、チャバネアオカメムシ(写真1、2)、ツヤアオカメムシ(写真3)、クサギカメムシ(写真4)を主な加害種としてあげることができます。ここでは、最も研究が進んでいる、チャバネアオカメムシについて述べることにします。

加害と被害:柑橘類やりんご、なし、柿など、ほとんどの果樹類を加害します。被害の時期を大きくわけると、春季から初夏にかけての若芽や花、つぼみ、幼果期と果実の肥大成長の終了した時期から収穫までの2つの時期となります。
若い芽や枝の被害は、萎凋または枯死することがあります。花の時期はつぼみを加害しますがその被害がどうなるかは明らかにされていません。幼果は加害されるとほとんど落果してしまい、しないものは奇形果となります(写真5、6参照)。温州みかんの場合、着色以前の果実が加害されると落果し、以後の落果はまれになります。そして、落果しない果実の皮をむくと、加害された箇所は果肉とひっついて皮が剥きにくくなる特徴があります(写真7参照)。

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生活史:今頃(11月)のカメムシは成虫で、これからの寒さに向かって越冬に入ります。越冬場所は、雑木林などの落葉下が主な場所となります。越冬した成虫は春先には周囲の潅木などで過ごした後、春から初夏は果樹の開花期に飛来し、主につぼみを加害しています。花の時期が終わると、キリやクワ、ヤマモモなどを渡り歩きながら生活し、6月下旬頃に、スギ、ヒノキに移動、そこで産卵を行います。幼虫は(写真8)スギとヒノキの果実(きゅう果)を餌として成長し、7月下旬から10月頃に新しい成虫が誕生してきます。

成虫の果樹園への移動はスギ・ヒノキの餌の量と増殖量が左右:この新しい成虫はスギ・ヒノキに餌が沢山残っていれば留まり、移動しませんが、餌を食べつくすと、新しい餌を求めて移動を開始し、果樹園に侵入し、加害することになります。春先の発生量は主に越冬した成虫の量が多かったどうかにより、 左右されますが、夏以降の新しい成虫の果樹園への飛来量は、スギ・ヒノキでどのくらい増えているか、いつ頃スギヤヒノキの果実(きゅう果)を食べつくすかによっておおよその移動時期を予測することができます。発生予察情報に気をつけてその年の発生状況をつかんでください。

防除対策:チャバネアオカメムシの雄は集合フェロモンを放出することが知られており、虫の密度が高くなるにつれて集合フェロモンの放出量は増えることになり、寄生量の多いところにはますます飛来するカメムシは多くなります。発生予察情報などでその年の発生量が多いと予測された場合には、果樹園に発生が見られたら早めに防除を実施するようにして下さい。カメムシは薬剤抵抗性の問題はないので、カメムシ類に登録のある殺虫剤であればほとんどが十分な防除効果が期待できます。しかし、発生量が多い場合、発生期間中、外部から常に果樹園へ飛来してくることになるので、残効性の長い殺虫剤を選択するようにしてください。シンジェンタからはスプラサイド水和剤がなし、おうとうのカメムシ類に、ガンバ水和剤が茶のツマグロアオカスミカメに、チェス水和剤が稲のカメムシ類に登録されています。
また、アクタラ類水溶剤が、かんきつ、かきのカメムシ類に登録申請中です。 (写真提供:静岡県病害虫防除所 増井伸一技師)

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問
古橋 嘉一

2001年12月20日掲載

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