病害虫・雑草防除ガイド - 害虫と病気の話
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フシダニ科(フシダニ、サビダニ類)

 フシダニはハダニ科に近縁の種で、すべて植物寄生性です。ゴール(虫えい)を作る種と作らない種があり、作らない種にはサビダニ類がおり、農作物を加害するダニではハダニ類についで重要ダニとして位置づけられています。我が国でフシダニ科のダニとして記録されているダニは51種ですが、そのうちサビダニの名前がついている種は25種あります。
 「フシダニ」の名前の由来ですが、昆虫やダニ類などによって植物に形成されるゴール(虫えい)には名前がつけられています。例えば、クリタマバチによって形成される虫えいは「クリメコブズイフシ」という名前です。
 虫えいを形成するフシダニにブドウハモグリダニがいますが、このダニによる虫えい(写真1)は「ブドウハケフシ」と呼ばれています。このように、フシ(虫えい)を形成するダニということでフシダニの名前がつけられました。しかし、農作物の害虫としては、虫えいを「形成するフシダニ」より「形成しないフシダニ」のサビダニ類のほうが農作物の加害フシダニとしては多いことが知られています。また、最近ではトマトサビダニ(写真2)のように外国からの侵入害虫が大きな被害を出し、問題となっています。

生態と習性

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フシダニ類の成虫は体長約0.1-0.3mm、体幅約0.05mmの細長い小さなダニで、肢が2対で4本の肢をもっています。他のダニは4対で8本の肢を持つので、足の数を見ることで、容易に識別することができます。植物に虫えいをつくるフシダニは体が円筒形または紡錘形で柔らかい表皮をしているのに対し、虫えいを作らない種(サビダニ)では、体がクサビ形をしています(写真3)。
発育は、卵→第1若虫→第2若虫→成虫と経過しながら発育します。年間の世代数は種類によっていろいろで、年間1世代から十数世代に及ぶ種もあります。当然、世代数の多いダニの増殖は速いことになります。
ハダニと同じようにフシダニも単性生殖をしますが受精しないメスからはオスのみが産まれ、受精したメスからはオスとメスの両方が産まれてきます。オスはメスに比べて小さな体をしています。越冬は普通、成虫で行われますが、芽の麟片にもぐって越冬する例が多くみられます。

加害の特徴と被害

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フシダニは体が小さいので、被害が出てから気がつくことがあります。被害が出て気づいた時には、既にムシがいないことが多く、病気として扱われていた例も少なくありません。被害はダニの種類によってまちまちで、 葉や果実が茶褐色になる例(写真4)や銀白色のシルバリング(写真5)、病気のような症状の斑紋(写真6)を出す例、虫えい(写真7)を形成するもの、葉を巻くものなどいろいろあります。作物に対する加害時期が違っても被害症状が異なることもあり、ミカンサビダニの例では、果実が青い時期に加害されると、収穫時期の果実の症状は灰色(写真8)、加害が着色時期では茶褐色(写真4)になります。
また、ウイルス病やマイコプラズマ様微生物を媒介するフシダニも知られています。

防除対策

これまで述べてきたようにフシダニ科のフシダニやサビダニは、体が小さいため、発生に気づくのは被害が出てからが多く防除が遅れ被害が拡大している例がよく見受けられます。例年発生するほ場では病気の防除のように予防的な防除を実施する必要があります。また、これまで効いていた薬剤に抵抗性の個体が出現したミカンサビダニの例や天敵防除を導入したことによって防除圧が低下し、トマトサビダニの発生が多くなった例などがあります。フシダニ類やサビダニ類の防除は生態をよく調べ、予防的な防除を実施することが防除のポイントです。
当社のサビダニ剤としては、アファーム乳剤マッチ乳剤ガンバ水和剤などがあります。適用の内容など、それぞれの詳細についてはホームページをご覧下さい。
(写真提供:千葉県農業総合研究センター 上遠野 冨士夫氏)

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問
古橋 嘉一

2003年2月21日掲載

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