病害虫・雑草防除ガイド - 水稲雑草シリーズ
13

水稲栽培における「苗箱への薬剤処理」「本田の雑草防除」の労力低減技術

季節は春を迎え、もうすぐ田植えのシーズン。
皆さまの圃場の準備はいかがでしょうか。
今回は水稲栽培における「苗箱への薬剤処理」や「本田の雑草防除」などの作業をいかに省力化するかをテーマに、弊社担当者がその背景と最新の労力低減技術についてご紹介します。

箱処理剤の効率的な処理に、灌注処理が貢献

──近年は箱処理剤の処理方法も大きく進化しました。省力化という観点ではいかがですか。

育苗箱に処理する箱処理剤は、本田で発生する様々な病害虫を未然に防ぐ薬剤であり、栽培面積の拡大や生産者の高齢化を背景に、本田における病害虫の防除労力軽減を目的とし、その利用実績は年々増加傾向にあります。
現在の箱処理剤の多くは、粒剤であるため、育苗箱への散布は手間がかかり、散布ムラや、こぼれ落ちてムダが出るなどの問題も抱えています。
また、粒剤の田植え同時処理では、気づかずに田植えを続けてしまう薬剤切れのリスクもあり、課題となっております。

こうした課題をクリアするために開発されたのが、育苗箱への「灌注処理技術」です。
灌注処理技術は、「処理時間の短縮化による労力軽減」「散布ムラやこぼれ落ちるムダの解消」をもたらし、灌水感覚で簡単に処理できることがポイント。
あらかじめ育苗箱に処理しておくため、田植え同時処理時の薬剤切れのようなリスクも回避できます。

また、そうした便利さとともに生産者の皆様から求められるのは、「お手持ちの器具で処理でき、機材購入のための追加投資が不要」であることや「ウンカ類やイネドロオイムシなど、水田の主要害虫に優れた効果を発揮すること」といった、コスト面・効果面での使いやすさなのではないでしょうか。
さらに、近年は、政府が飼料米の作付や転作が容易なWCSへの取り組みを推進していることもあり、これらの栽培にかかる労力軽減も求められています。

このようなニーズや課題を背景にして、弊社では、灌水感覚で簡単、スピーディ、省力的な灌注処理を実現する、水稲育苗箱用殺虫剤「ミネクトスター顆粒水和剤(以下、ミネクトスター)」を2016年12月より販売しました。
各地で実際にお使いいただき、「ムダがなくなって省力化できた」「簡単に薬剤処理ができる」など、うれしいお言葉をいただいております。

  • 定置式動力噴霧器(育苗箱200 枚 :約4分吐水量25リットル/分)

    定置式動力噴霧器
    (育苗箱200 枚 :約4分
    吐水量25リットル/分)

  • 自動灌水装置

    自動灌水装置


★ミネクトスター顆粒水和剤の証言動画はこちら(YouTubeが開きます。)
★ウンカについて詳しく紹介した「ウンカまるわかりガイド」はこちら

1回の散布で、効率的な本田の雑草防除を実現

──近年では、どのような水田雑草が問題になっているのでしょうか。

ヒエは全国的な問題雑草で、温暖化などの影響などにより、発生時期や発生パターンも多様化しており、水稲の減収や品質低下をもたらす原因となっています。
それ以外の水田雑草では、SU抵抗性雑草を含むイヌホタルイ、コナギなどが近年広がりを見せているので要注意です。
また、土中の塊茎で繁殖するため、除草剤による防除が困難なクログワイやオモダカなどの多年生雑草も注意が必要な問題雑草と言えるでしょう。

──大規模生産の現場では、除草剤散布でどのような課題がありますか。

近年の稲作では、長期残効を有する初・中期一発除草剤の散布が一般的ですが、その使用時期は、ヒエ2.5葉期や3葉期まで使用可能な場合が多いです。

大規模生産の現場では、田植えが数日間に及ぶことも多く、ヒエの生育に、バラつきが生じやすくなります。
例えば、ヒエ3葉期まで使用可能な一発処理剤を使用する場合は、ヒエの生育状況に合わせて、田植え作業集中期間に複数回除草剤を散布することになり、散布時の労力は大変重くなりがちです。

このような大規模生産現場における本田の雑草防除を省力化するには、散布適期の幅広い水稲用除草剤を選択するのがおすすめです。
また、無人ヘリコプターやドローンによる除草剤散布も、大きな面積をまとめて処理するのに最適で、省力化の一つのポイントと言えます。

本田除草の省力化のために、弊社では「アクシズMX1キロ粒剤(以下、アクシズMX)」を開発し、現在、様々な水田圃場のニーズに合わせてご利用いただいています。
アクシズMXは、使用時期「(移植水稲の場合)移植後7日~ノビエ4葉期まで」と散布適期が広いため、4葉のような葉齢が大きなヒエが混ざっている圃場でも、安心して防除ができます。
ヒエの生育状況に合わせて薬剤処理内容を考慮する煩わしさがなくなるため、田植え日が異なる複数の圃場の雑草防除にも、役立てていただいています。

──他にはどのような雑草防除の課題があると考えていますか?

イヌホタルイ、コナギやクログワイ、オモダカなども、やはり根強い問題雑草として認識しています。
また、移植水稲、直播水稲ともに、無人ヘリコプターやドローンによる航空防除ができること、10キロなどの大型規格の整備など、規模拡大を目指す生産者の皆さまの省力化に貢献することも、重要なポイントと考えています。
先ほどお話ししたアクシズMXも、これらの課題解決の解決策になりますので、お試しいただければと思います。

  • ヤマハ発動機(株)FAZER(フェーザー)

    ヤマハ発動機(株)
    FAZER(フェーザー)

  • アクシズMXのノビエに対する効果

    アクシズMXのノビエに対する効果


アクシズMX 1キロ粒剤の体験レポートはこちら

収穫後の除草剤散布で、翌年の雑草発生密度を低減

──水田刈跡への非選択性除草剤散布で、クログワイやオモダカなど多年生雑草の発生量を減らせるそうですね。

クログワイとオモダカは全国で発生し、いったん水田に侵入すると増殖力が旺盛で、塊茎の寿命も長く、防除が困難です。
こうした難防除雑草の除草には、根までしっかり枯らすことができる非選択性除草剤による、水田刈跡への処理が効果的です。
クログワイやオモダカなどの塊茎形成を抑制し、3~4年継続使用すれば、翌年の発生密度を大幅に減らすことができます。

例えば、非選択性除草剤タッチダウンiQの50倍液を、稲刈取後の圃場に散布することで、クログワイやオモダカなどの塊茎形成を抑制することができます。
先ほどご紹介した、アクシズMXとの体系処理を行えば、より高い雑草防除効果が得られ、本田における防除労力をさらに軽減することが可能です。

  • クログワイの塊茎

    クログワイの塊茎

  • タッチダウンiQのクログワイに対する効果

    タッチダウンiQの
    クログワイに対する効果
    シンジェンタジャパン㈱ 社内試験


クログワイ、オモダカなどの多年生雑草のまめ知識はこちら
「難防除雑草『クログワイ』の生態と防除」はこちら

 

──ヒエが多発生する圃場に最適な除草方法「稲刈取後除草」について教えてください。

ヒエは、稲と見分けるのが難しいうえに、生育スピードが早いので防除が困難になる厄介な雑草。
稲刈取後に再生したヒエを放置しておくと、大量の種子をつけ、それが本田に落下することで翌年のヒエ密度を高めてしまいます。

そこで有効な手段となるのが、稲刈取後にパラコート除草剤を散布する「稲刈取後除草」です。
稲刈取後除草を行うことで、雑草が種を落とす前に枯らし、翌シーズンの発生を軽減させることできます。

パラコート除草剤である「プリグロックスL」は、この稲刈取後除草に最適な非選択性除草剤です。
気温が低くても効果が安定しているので、稲刈取後の秋冬期散布に適しており、散布15分後の雨でも効果を発揮します。

プリグロックスLによる「稲刈取後除草」のポイントは、薬液100~150L/10aのたっぷり散布で、しっかりと付着させることです。
ヒエをはじめとするイネ科雑草が種子を落とす前に、薬液を付着させることが重要なので、稲刈取後の早い段階で散布し、毎年継続的に実施することをおすすめします。


★「水稲における雑草管理と非選択性除草剤の上手な使い方」では、稲刈取後除草について詳しくご紹介。動画もご覧になれます。
(前編)(後編)

──本田の雑草防除だけでなく、畦畔の除草を省力化する方法はありますか。

カメムシなど害虫のすみかにもなる畦畔の雑草防除は、高品質なお米を生産するためには欠かせない作業です。
同時に労力のかかる大変な作業でもあり、特に機械刈りだけで雑草を処理するとなると、シーズンに複数回行わなければならず、ましてや夏場の作業の過酷さはことさらです。

畦畔の除草では、非選択性除草剤の散布が有効です。
特に、目的に応じて薬剤を使いわけていただくことをおすすめします。
生育が旺盛な雑草を防除したい場合は、根までしっかり枯らすタッチダウンiQを、畦畔を崩さず、雑草を防除したい場合は、根まで枯らさないプリグロックスLを選ぶなど、圃場の状況を見極め、用途に合った非選択性除草剤を使用することで、雑草防除作業の省力化につながります。

  • 稲刈取後の雑草を放置した場合

    稲刈取後の雑草を放置した場合


 

2018年3月30日掲載

関連製品

簡単、スピーディ、経済的な灌注処理
水稲用殺虫剤「ミネクトスター顆粒水和剤


ノビエ4葉期まで使用可能。クログワイなどの多年生雑草にも効果的
初・中期一発処理除草剤「アクシズMX1キロ粒剤

根まで枯らしてクログワイ、オモダカなどの塊茎形成も抑制
非選択性除草剤「タッチダウンiQ

稲刈取後除草で、翌年のヒエの発生密度を低減
非選択性除草剤「プリグロックスL

ページの先頭へ戻る