病害虫・雑草防除ガイド - 水稲雑草シリーズ
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水稲における雑草管理と非選択性除草剤の上手な使い方
~前編~

弊社開発登録部 開発部の杉山 稔

弊社開発登録部
開発部の杉山 稔

季節は収穫の秋。これから稲刈りを迎える方も多いことと思います。
水田雑草の管理といえば、水田作期間中だけとお考えの方が多いかもしれませんが、稲刈取後や耕起前の除草が重要な意味を持っていることをご存じでしょうか。
今回は、水田雑草の管理と非選択性除草剤の上手な使い方について、弊社開発登録部開発部の杉山 稔がご紹介いたします。


水稲作に必要な雑草管理はオールシーズン!?

「うちの田んぼは、毎年雑草の発生がひどくて除草が大変」と苦労されている生産者の方はたくさんいらっしゃいます。
そんな悩みを抱える皆様の中には、除草は初期剤や初・中期一発剤、中・後期剤などの水稲用除草剤だけしか使っていない、という方も多いのではないでしょうか。
一年のサイクルの中で、水稲における雑草管理で必要とされる場面は、下記のように水田作期中だけとは限りません。

①年明け、春季→耕起前除草
②代かき・田植え前後、中干し以降→本田除草や畦畔除草
③収穫後→稲刈取後除草

このように一年を通じて除草を行うことで、雑草の密度を低減させることができ、毎年の雑草管理が楽になります。
このうち、①の耕起前除草、②の畦畔除草、③の稲刈取後除草については「非選択性除草剤」、②の本田除草は「選択性除草剤(水稲用除草剤)」の使用が基本となります。

  • 水稲作における1年を通じた雑草管理

    水稲作における1年を通じた雑草管理


「選択性」「非選択性」とはなんのこと?

ここで、選択性・非選択性除草剤についてふれておきましょう。
まず「選択性除草剤」ですが、水稲でいえば稲は枯らさずに雑草を枯らす、つまり雑草のみを選択して除草する除草剤のこと。
初期剤や初・中期一発剤などでおなじみですね。

それとは反対に「非選択性除草剤」は、選択することなく、雑草を含めたすべての植物体を枯らす除草剤のことです。
このような除草剤の性質から、稲と雑草が共存する水田作期中は選択性除草剤、それ以外の期間や畦畔には非選択性除草剤を選択することになるわけです。

繰り返しになりますが、この選択性除草剤、非選択性除草剤を組み合わせて一年を通じて除草を行うことが、雑草密度低減の早道です。
その際には、「非選択性除草剤」の選択がポイントとなります。

「浸透移行型」は兵糧攻め、「接触型」は大砲攻め?

薬剤選択のポイントをご紹介する前に、非選択性除草剤の基本的な特徴についてご紹介しておきましょう。
まず、非選択性除草剤は作用特性によって「浸透移行型」と「接触型」の2タイプに大別できます。

「浸透移行型」は、グリホサート系除草剤と呼ばれるタイプの除草剤で、植物体に付着すると植物体内に浸透・移行して、植物生長の元となるアミノ酸の形成を阻害することで雑草を根まで枯らします。
人間に例えていうならば、生きていくために必要な食べ物を与えずに餓死させる、いわば兵糧攻めに似ています。

一方「接触型」は、グルホシネート剤やパラコート剤などと呼ばれるタイプの除草剤で、薬液が付着した部分の植物細胞を破壊することで、雑草を枯らします。

浸透移行型の兵糧攻めに対して、「接触型」は城の壁を破壊する大砲攻めといったイメージでしょうか。
これらの特性の違いから、グリホサート系除草剤は除草効果発現までに比較的時間を要し、パラコート剤は速効的に効果が発現する、という特徴があります。

  • 浸透移行型と接触型の作用の違い

    浸透移行型と接触型の作用の違い

耕起前と稲刈取後の「非選択性除草剤」は、こう選択する

  • 弊社開発登録部 開発部の杉山 稔

春雑草を耕起の際に生きた状態のまますきこんでしまうと地中でガスが発生し、稲の生育に悪影響を及ぼします。
このような雑草は耕起前に根まで枯らしておかないと、翌年の発生源にもなるので、「浸透移行型」のグリホサート系除草剤で根まで枯らしておくことをおすすめします。

また、秋の稲刈取後では、本田で取りこぼした雑草や再生してきた雑草が種子を落とし埋土種子が増え、それが翌年の発生源となって雑草の発生密度が高まってしまいます。
そこで「接触型」のパラコート除草剤を稲刈取後1ヵ月以内に本田に散布するようにしましょう。
少なくとも2~3年以上は継続して実施するのがおすすめです。

 

2017年9月29日掲載

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