病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話

雑草コラム Vol.5 アブラナ科雑草 ナズナ

ナズナ(アブラナ科)の英名はShepherd’s-purseで、訳すと「羊飼いの鞄」となります。かつてヨーロッパで、食料や道具などを持ち運ぶために羊飼いが使っていた鞄が、ナズナの果実と同様な形をしていたために名付けられたそうです。フランスのブランド「Le Sac du Berger(羊飼いの鞄)」は、17世紀の南フランスで使われていた羊飼いの鞄を再現し、商品としています。

さて、作物にふるさと(起源地)があるように、雑草にも起源地があります。ナズナは、地中海北岸の地域で起源したと考えられています。そして、日本へは、ムギ類(オオムギ、コムギ)とともに伝来したとされています。

ナズナは、春に花茎を伸ばし、花序の下から順に白い花を咲かせます。早く咲いたものでは果実が発育し種子が成熟する一方、上方では花を咲かせています(写真1,2)。そのため、種子が散布される期間は長期に及びます。そして、夏には種子の散布を終え、茎葉や根は枯れてしまいます。ナズナは、オオムギやコムギと同様に、夏は高温・乾燥となる気候に適応しており、「厳しい夏は種子でやり過ごす」という季節の過ごし方をしています。

ところで、日本では、ナズナは秋に発芽するものと春に発芽するものがあります。早い時期に成熟し散布された種子は、土中で20℃程度の温度を長い期間経験することで休眠から醒め、秋に発芽すると考えられています。一方、遅い時期に散布された種子は、そのような温度を経験する期間が短いため秋には休眠から醒めず、発芽は春になるようです。
地中海北岸を起原地とする「羊飼いの鞄」は、今では世界中の温帯域で、その「鞄」から種子(写真3)をこぼしています。

 

【引用・参考図書等】
Michael S. DEFELICE(2001), Shepherd’s-purse, Capsella bursa-pastoris (L.) Medic. Weed Technology15:892-895.

芝山秀次郎・小川明子(2000年)、佐賀県北部の台地畑作におけるナズナの発生と環境要因、雑草研究45:207-213。

 

雑草コラム執筆者プロフィール
露﨑 浩
秋田県立大学生物資源科学部教授として、雑草の生態と制御および利用に関する研究、ならびに畑作物の安定・多収生産技術に関する研究に取り組んでいる。

関連製品

非選択性除草剤「プリグロックス(R)L

ページの先頭へ戻る
クッキー削除