病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話

雑草コラム Vol.2 タデ科雑草 ギシギシとコガタルリハムシ

ギシギシやエゾノギシギシは、畑地、牧草地、路傍あるいは空き地などに生育するタデ科ギシギシ属の多年生植物です。いずれも防除が困難で、エゾノギシギシは外来生物法により「要注意外来生物」とされています。このようなギシギシ類を特異的に好んで食べる甲虫がコガタルリハムシ(ハムシ科)です。

この甲虫は、夏・秋・冬を土中で休眠成虫として過ごします。 春になるとその越冬成虫は、土中から地上に移動し、ギシギシ類の葉を食べ交尾をし(図1)、葉の裏にたくさんの卵を産みつけます(図2)。

孵化した多数の幼虫はせっせとギシギシ類の葉を食べるので、葉が食べ尽くされたギシギシ類を野外で見ることがあります(図3)。お腹をいっぱいにした幼虫は、いったん土中に潜り、蛹(さなぎ)を経て成虫(新成虫)となります。新成虫は、地上に出てギシギシ類を摂食した後に、土中での長い休眠期に入ります(図4)。

このようにコガタルリハムシは春期のおよそ2ヶ月の間、「越冬成虫」、「幼虫」、「新成虫」の3回、ギシギシ類を摂食します。そのため、この甲虫によりギシギシ類の成長は強く抑制され、時として枯死することもあります。

私は「このコガタルリハムシを活用してギシギシ類の成長を抑制できないか」と考え、応用昆虫学の専門家と共同で研究を始めました。その手始めとして、ギシギシとエゾノギシギシが混在する圃場でコガタルリハムシの行動を観察しました。その結果、興味深いことに、コガタルリハムシ(在来種)の越冬成虫は、帰化植物のエゾノギシギシよりも在来種のギシギシの葉を好んで摂食し、またギシギシの葉に好んで産卵することが観察されました。ギシギシ類2種の葉の栄養成分などに違いがあるのではないかと思われます。

私たちは葉の栄養成分などを比較する調査を行うなどして、最終的にはコガタルリハムシの人工飼料を作ろうと考えています。あわせて、休眠成虫の保管技術やギシギシ類の成長抑制に効果的な放虫技術の研究にも取り組んでいきます。

“蓼食う虫もスキズキ”ならぬ、“蓼食う虫でギシギシ”のお話しでした。

 

雑草コラム執筆者プロフィール
露﨑 浩
秋田県立大学生物資源科学部教授として、雑草の生態と制御および利用に関する研究、ならびに畑作物の安定・多収生産技術に関する研究に取り組んでいる。

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