病害虫・雑草防除ガイド - 水稲雑草シリーズ
10

水田における抵抗性雑草の現状とその対策

内野彰上級研究員

内野彰上級研究員

1940年代から使われ始め、除草作業の労力低減に大きく貢献した水稲用除草剤。
1980年代後半にはスルホニルウレア系除草剤(SU剤)を含む一発剤が登場し、雑草との戦いは優位性を高めました。
しかし、1990年代中頃からSU剤に抵抗性を持つ「SU抵抗性雑草」が出現。
現在もなお、その種類と発生地域を拡大し続けています。
水稲生産者は、そんなSU抵抗性雑草とどのように向き合うべきか──。
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センターの内野彰上級研究員にお話を伺いました。


最初に水田の抵抗性雑草にまつわる歴史をお聞かせください。

  • SU抵抗性が報告されている雑草

水田では1990年中頃から、スルホニルウレア系除草剤(SU剤)に対して抵抗性を発達させた雑草「SU抵抗性雑草」が問題になり始めました。
その種類は年々増加し、現在SU抵抗性が報告されている水田雑草は22種類に及びます。
これらはもともとSU剤で防除されていた雑草ですが、SU剤を連年使用するなかで抵抗性を持つ個体が生き残って増殖し、SU抵抗性雑草として問題化したものと考えられています。


抵抗性雑草のなかでもどのような草種が問題になっていますか?

現在はSU抵抗性個体に有効な除草剤が市販されており、除草剤の選択さえ間違えなければ大きな問題とならないものの、水田雑草の種子は土中で長い寿命を保つためSU抵抗性個体が出現した圃場では適切な防除を長期にわたって継続する必要があります。
とくに全国的な広がりを見せるイヌホタルイ、コナギが問題視されており、全国的ではないものの難防除という点でオモダカにも注意が必要です。

  • イヌホタルイ

    イヌホタルイ

  • オモダカ

    オモダカ

  • コナギ

    コナギ


近年は抵抗性雑草にどのような変化や傾向が見られるでしょうか。

これまで雑草の抵抗性の問題はノビエ以外に出ていたのですが、最近ではヒメタイヌビエのようにノビエにも出てきたことが特徴といえます。
現在ではペノキススラム、フルセトスルフロン、プロピリスルフロン、メタゾスルフロン、ピリミスルファンといったノビエにも効果がある新規ALS阻害剤が開発されており、他の草種の対策も考える場合にはメソトリオンのような白化剤との組み合わせも効果的といえるでしょう。

圃場のなかで抵抗性雑草かそうでないかを見分ける方法はありますか?

見た目では判別できないため厳密には試験をしてみなければ断定できないのですが、抵抗性雑草は"除草剤が効いているにもかかわらず残ることが特徴"といえます。
たとえば、圃場のなかにいろいろな種類の雑草が残っている場合、除草剤が効いていないことが考えられます。
一方、イヌホタルイだけ、コナギだけといったように1種類の雑草だけが残っている場合、それらの残草個体はSU抵抗性雑草の可能性があります。
ただし、最近はイヌホタルイ、コナギ、オモダカといったSU抵抗性雑草が同時に発生している場合もあり、判別を難しくしています。

  • イヌホタルイ発生圃場

    イヌホタルイ発生圃場

  • オモダカ発生圃場

    オモダカ発生圃場

  • コナギ発生圃場

    コナギ発生圃場


それらの難防除雑草に対して、どのような対策が有効とお考えですか?

  • 田面を露出させないための水管理

    田面を露出させないための水管理

防除対策の基本は、SU剤以外の有効成分を含む除草剤を使用することです。
初期剤や中期剤・後期剤はもともとSU剤以外の除草剤成分が主ですので、これらが高い効果を示す場合が多く見られます。
また、イヌホタルイとコナギに対してはプレチラクロール、ブロモブチド、クロメプロップや、白化剤のベンゾビシクロンといった除草剤成分が有効です。
これらの成分はアゼナ類にも有効ですが、いずれの草種に対しても処理時期が遅れると効果が低下するので、適期処理や除草剤を処理した水を流さない、田面を露出させないといった水管理を徹底する必要があります。
また、オモダカに対してはベンゾフェナップが高い効果を発揮し、テフリルトリオンも有効とされています。
しかし、オモダカはもともと発生期間の長い雑草であり、一発剤の残効がなくなった後にも発生する雑草のため、これらを含む除草剤に加え中期剤や後期剤との体系処理を行うことが重要です。

  • 除草剤を処理した水を流さないことが大切

    除草剤を処理した水を流さないことが大切


最後に、抵抗性雑草を効果的に抑えるためのアドバイスをお願いします。

これまでの研究で、雑草が抵抗性を持つ個体へと変異する確率は約1/100万ということがわかっています。
これは、ある圃場に100万個の種が落ちていれば、そのうちの1つが抵抗性を持つという割合です。
つまり、同じ広さの圃場で種が1万個であれば、抵抗性を発現する割合は1/100に減少します。
このことからも、抵抗性雑草の発生を防ぐにはいかにして埋土種子の量を減らすかということにかかっているのです。
そのためにも、稲の収穫後に畦畔を含めた除草を励行し、圃場に種が落ちる前に処理することがとても有効といえます。
また、SU抵抗性雑草ではないものの直播栽培で問題になっている雑草イネに関しては、発芽を促進する石灰窒素をまいて秋のうちに芽を出させてしまい、冬の冷気で死滅させる方法も検討されてはいかがでしょうか。

 

2016年8月31日掲載

関連製品

ノビエへの効き目がアップ! ホタルイ、コナギなどSU抵抗性雑草をスピーディに除草
初・中期一発処理除草剤 アピログロウ(R)MXジャンボ

オモダカ、クログワイなどの多年生雑草やSU抵抗性雑草に優れた効果
初・中期一発処理除草剤 アクシズ(R)MX1キロ粒剤

2成分で減農薬。発生後のSU抵抗性雑草をスピーディに除草
初期一発処理除草剤 マキシー(R)MX1キロ粒剤

ホタルイ、コナギなど発生後のSU抵抗性雑草をスピーディに除草
初・中期一発処理除草剤 アピロキリオ(R)MX1キロ粒剤51
初・中期一発処理除草剤 アピロキリオ(R)MX1キロ粒剤75

ホタルイ、コナギなど発生後のSU抵抗性雑草をスピーディに除草
初・中期一発処理除草剤 アピロ(R)トップMX1キロ粒剤51
初・中期一発処理除草剤 アピロ(R)トップMX1キロ粒剤75

ホタルイ、コナギなどSU抵抗性雑草をスピーディに除草。投げ込むだけのジャンボ剤。
初・中期一発処理除草剤 アピロ(R)トップMXジャンボ
初・中期一発処理除草剤 アピロ(R)トップMX Lジャンボ

ページの先頭へ戻る