病害虫・雑草防除ガイド - 農作業の安全講座
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安全対策(マスクや防護服等)について

農薬の正しい使い方を身につけよう

安全講座第1回の冒頭に掲載した“製品ラベルは安全使用の道しるべ”をおぼえていますか? 農薬のラベルには、人畜や環境に悪い影響を与えないように、また危被害を防止するための安全な 使用方法が詳細に記載されています。これまでも農薬の誤使用による事故について説明してきました。 これらの事故のほとんどは、ラベルを良く読まない、決められた注意事項を守らない、農薬を間違えて いたなど農薬を使う人の不注意で起きている場合が多いのです。

製品ラベルには、PL法(製造物責任法)の施行に対応して、使用上の注意事項をひと目で分かるよう、 図-1に示す注意喚起マークや禁止マークの絵表示をラベルに採用しています。

左側の「行為の注意喚起マーク」は、自動車運転で言えばシートベルト装着の強制であり、ラベルにマ スクのマークがあればマスク必着です。右側の「行為の禁止マーク」は運転中の携帯電話使用や 飲酒運転のようにしてはいけない禁止行為を意味し、ハウスの禁止マークがあればハウス施設内での 農薬散布は厳禁です。

  • 図-1:注意喚起マークや禁止マーク

農薬ラベルの注意喚起マークと禁止マークは
安全使用のチェックポイントです

農薬取扱いで製品ラベルにマスクマークがあるにも拘わらず防護マスクを着用しなかった等によってヒヤリ・軽症事故が起きたりします。また、使い残した農薬を飲料用容器に移して、無表示で気付かずに誤飲して「常識を超える、極めて非常識な取扱い」によって軽・中症程度の中毒事故が報告されています。

この異常度合いがPL法で紛争になり易いし、製品(製造物)の安全性レベルの設定にも大きく関わってきます。しかし、PL法が消費者保護を目的にしていると言っても、逆に使用者の責任が一層深まって一概に有利になった訳でないことを理解すべきでしょう。

農薬の使用にあたっては、農薬製品ラベルの記載内容を必ず読み、注意喚起マークも参考にし、農薬使用基準を守る事によって危被害を防止できるので、日頃農薬を使われる皆さんには、このことを理解して頂くようお願いします。

次に防護マスクや防護メガネの装備不十分によるヒヤリ・ハットの事故を未然に防止するために、なぜ防護マスク、防護メガネの着用が必要かをお話しましょう。

なぜ農薬散布にはマスクが必要なのでしょう

農薬を散布すると多少とも散布液粒子が散布者の皮膚を汚染したり、経口的に体内に入る可能性があります。皮膚から侵入した農薬の毒性の強さを1とすると、同じ量を呼吸で吸い込んだ時の毒性の強さは30倍にもなるといわれています。これは皮膚から入るのは皮膚の厚さもあり、防御機構も十分に働きますが、気管支や肺に吸入したものでは直接血液中に吸収され中毒発症リスクが大きくなります。そのため積極的に防護マスクを着用して口、鼻からの取り込みを防止する必要があるわけです。

マスクの着用は、隙間から僅かでも吸い込まないようにするために、密着性をよくする必要があります。正しい防護マスクの着け方をご存知ですか? 正しく装着できるか試してみましょう。

粉剤に対する捕集率を見てみると、ガーゼ20枚のマスクでも捕集率は50%そこそこですし、タオル3枚でも70%の捕集率です(図-2)。液剤散布では国家検定の防護マスク装着散布後にうがいをして、うがい液中の農薬を分析してみると、僅かながら検出される事があります。マスクをしていても、気密性が十分でないこともあるので、散布作業後は必ずうがいをした方が良いでしょう。また、マスクに農薬の臭いがしたら、交換したほうが良いでしょう。

NSH剤のプリグロックスL、タッチダウンiQの製品ラベルには防護マスクの絵表示がありますので、散布液調整時や散布作業の際にはマスク着用の励行をお願いします。

  • 図-2:マスクの補集率

防護メガネを着用しよう

最近の農薬の容器は、硬質性のプラボトル容器がほとんどで、割れる事がなくなりました。その分キャップを外した容器を落とした時に原液が跳ね返り飛沫が目に入ることがあります。また、少量を目の高さで秤量した際に原液がはね返って飛沫が目に入るといった事例、またノズルの目詰まり修理中に顔面に散布液をかぶったりする事例があります。

粉剤や粒剤の粉立ちも取り扱い作業の際に目に入る事があります。この場合は眼をこすると製剤の粒で眼球に傷をつけたりべたついたりして眼刺激を拡大するので、必ずこすらずに直ちに流水で十分(約15分間)に洗眼した後眼科医の手当てを受けて下さい。

プリグロックスL製品ラベルには「メガネ着用」の強制マークが表示されています。眼粘膜に対し刺激性があるので原液調整時には必ず着用するよう心がけて下さい(図-3参照)。メガネ着用表示のない農薬でも界面活性剤などが添加された農薬原液の取り扱いの際は、飛沫の眼飛入リスクを考えて防護メガネを着用するとよいでしょう。

特に石灰硫黄合剤のようなアルカリ性の強い農薬は、眼粘膜に対する腐蝕性が強いので、必ず防護メガネを着用すべきです。

  • 図-3:眼刺激性
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