病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
耕転で種子を地中深く埋めれば、翌年の発生を軽減可能
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メヒシバ(後編)

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写真(サツマイモ畑とその畦畔(左手前)に生育するメヒシバ)

写真1:サツマイモ畑とその畦畔
(左手前)に生育するメヒシバ

「雑草はどこにでも生える」といった印象をお持ちの方もおられるかと思います。しかし実際は、生育地をえり好みする雑草も多く、例えばメヒシバに近縁なアキメヒシバは路傍や運動場を、コメヒシバは人家の周囲の日陰を好みます。そういった中でメヒシバは、畑地はもちろん、その畦畔、花壇、路傍、果樹園など実に多くの場所に生育できます。これは、メヒシバの一つの特徴といえます。

なぜメヒシバは環境条件の異なる多様な場所に生きられるのでしょうか。私はそんな疑問をもっていました。そしてある日、サツマイモ畑とその畦畔に生えるメヒシバ(写真1)で、種子(植物学的には小穂(しょうすい))の大きさが違い、畑のもののほうが小さいことに気づきました。この大きさの違いは、畑と畦畔で土壌の養分などが違うからかもしれません。そこで次に、各々のメヒシバを種子から同じ実験圃場で育ててみました。すると、畑に由来するメヒシバ系統は畦畔の系統に比べ、やはり種子は小さく、加えて穂を出すのが早く、また種子を多産することが分かりました(写真2)。それぞれの生育地での管理作業などが選択圧として働いた結果、各々の生育地に適した個体が生き残ったものと考えられます。このような生育地と関連した適応的な分化は、上記の事例だけでなく全国の各地で認められました。同じように見えるメヒシバでも、実は各々の生育地に「育成された専門家」がおり、そのことでメヒシバは多様な生育地に生えることができるのです。

写真2:サツマイモ畑ならびにその畦畔に由来するメヒシバ系統

  • 写真(図A:左のポットは畦畔由来の系統、右のポットは畑由来の系統。畑系統のほうが全体に小型で、図中の矢印で穂を示したように出穂が早い。)

    図A:左のポットは畦畔由来の系統、
    右のポットは畑由来の系統。
    畑系統のほうが全体に小型で、
    図中の矢印で穂を示したように出穂が早い。

  • 写真(図B:左2つが畦畔系統が生産した種子、右2つが畑系統が生産した種子。畑系統の種子のほうが小さい。)

    図B:左2つが畦畔系統が生産した種子、
    右2つが畑系統が生産した種子。
    畑系統の種子のほうが小さい。

写真(飼料として集められたメヒシバ属植物(中国貴酬省の農家にて))

写真3:飼料として集められたメヒシバ属植物
(中国貴酬省の農家にて)

そんな強かさをもったメヒシバですが、出芽可能な深度は2〜3cm程度と浅いこと、また種子の寿命が1〜2年と短いという弱点を持ちます。そこで、散布されたメヒシバ種子を反転耕によって地中深くに埋め込めば翌年の発生を抑制できます。また、メヒシバの徹底防除を2年間継続すれば、それ以降はほとんど発生しないと期待されます。多くの畑作用土壌処理剤はメヒシバの発生防止に卓効を示します。また、選択性茎葉処理剤や機械的防除により生育初期のメヒシバに対処できます。

さて、メヒシバは利用もされます。メヒシバの草質は柔軟多汁でイネ科としては栄養価も高いことから、古くから家畜の夏季粗飼料として利用されてきました(写真3)。牧草化に向けた育種上の取り組みもなされ、アメリカでは牧草用メヒシバ品種が育成されています。また、メヒシバ属には、フォニオおよびライシャンなど雑穀として海外で栽培される種が存在しています。そこで、メヒシバが穀物の遺伝資源として利用される可能性もあります。

 

秋田県立大学短期大学部
生物生産学科
露崎 浩

2005年12月12日掲載

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